本日は当直。

そのため、ブルマから誘われたお花見には行くことが出来ず、メディカは西の都の病院の屋上から、お花見が行われている公園の桜を眺めていた。

周りのビル群の明かりも届かない程広大な敷地の公園は、桜が咲いている辺りだけが暖かい照明に灯され、とても幻想的に見える。

その、ぼんやりと浮かび上がるオレンジ色の照明を受けた桜の木の群生が、夕日を受けた雲の様に見え

「近くで見たらもっと綺麗なんだろうなぁ。」

そう呟くと、今だけ咲き誇り人々を楽しませる桜の花に思いを馳せた。

誰もいない静かな屋上で、温かい風が白衣の裾を揺らしていくのを心地良く思いながら、遠くの桜を愛でていると

「メディカさん！」

と、突然空から降ってきた声に驚き、夜空を見上げた。

「トランクスさん！？」

上空で手を振る姿を認め驚いていると、少し悪戯っぽい笑みを浮かべたトランクスが、スッと下りて来て隣りに並んだ。

「逢えてよかった！」

「来て、くれたんですか？」

「ええ。一緒に桜を見たかったし。」

照れた様に答えると、メディカに「嬉しい・・・！」と、はにかんだ微笑みを返され、その顔にトランクスは花見を抜け出してここに来て正解だったなと、にやついて口角が思いっ切り上がりそうになるのを何とか堪えるのだった。

「ここなら静かに花見が出来るし、来てよかったよ。あそこに居たら、うるさくて花見どころじゃないから。」

２人並んで遠くの桜を見ながら、トランクスが困った様に笑うと、メディカはその様子が容易に想像出来たらしく、くすりと笑いを零した。