「ここでも何だし、中でコーヒーでもどうだい？」

と、トランクスを誘うのだった。

何ら怪しむ様子もないクリニクの様子に動揺しながら

「あ、いや。そろそろ戻らないといけないので・・・！」

やんわり断ると

「何だ、そうか・・・。残念だな。」

何故かとても残念そうな顔をされ、トランクスは戸惑った。

夏に会った時もそうだったが、何故か自分はメディカの父に好感を持たれている気がする・・・。

（いやいや・・・。そんな筈ないだろ・・・。気のせいだよな・・・。）

心の中で否定しつつ

「あの・・・それでは、今日はここで失礼します。メディカさん、じゃあ、また西の都で・・・。」

そう言って、トランクスはメディカに笑顔を向けてからクリニクに深く頭を下げると、ふわりと浮き上がり、西の都のある方の空へと消えて行ったのだった。

トランクスが消えて行った、薄らとした月が昇る空を２人で見上げていると

「アレだよ！アレ！！むかし、見たことがあるんだ！やっぱり飛んでるんだよな、アレ！！？」

クリニクは興奮した様に拳を握っていた。

「見たことあるんだ。」

「ああ！アレはやっぱりトリックなんかじゃないんだよな！！一体どういうことなんだ？！」

興奮気味の父に

「あれ、舞空術っていうのよ。」

と、答えると

「知ってるのか？！」

食いつく様に尋ねられ、メディカはやれやれといったふうに苦笑いを浮かべると

「はいはい。教えてあげるから、早く中に入りましょう。」

そう言って、買い物袋を抱えたまま診療所の中へと入って行くのだった。