こっちがそんなふうに思っている事など、全く知りもしないだろうメディカが憎らしく

「あーあ。メディカさんが電話に出てくれてたら、こんなに飛び回らなくてよかったのになぁー。」

意地悪くじとっとした目で隣りを見ると、今度はメディカがバツの悪い顔を浮かべ

「っ！・・・ゴメンナサイ・・・。」

と小さくなった。

そんなメディカにトランクスは満足そうに微笑んでから

「でも、今回はおあいこかな。メディカさんからこの町のことを聞いてなかった俺もいけなかったんだし。」

そう言って苦笑いを浮かべると

「・・・私も話してなかったですから・・・。これからは、私のことももっと話しますね。」

少し照れて笑う顔に、トランクスの胸の中は、温かい陽だまりの様な想いで満ちるのだった。

そんな、あたたかくてふわふわした恋心を胸に抱えながら歩いていると、色褪せ始めていた心の中には、再び鮮やかな色が付き始めていた。

それはメディカも同じだったのだろう。

「すごく勝手。」

と言うと

「私、さっきまで西の都に戻るのが億劫だったんです。仕事も上手くいかなくて落ち込んでたし・・・。でも、今はトランクスさんのいる都に戻りたいって思ってる・・・。すごく勝手ですよね。」

清々しい表情で空を見上げていた。

そんなメディカに

「そんなもんだよ。俺だって、毎日がつまらなくて仕方なかったけど、メディカさんを好きになってからは毎日が楽しくて・・・。」

と言ってる途中でハッとし、トランクスは慌てて口を噤んだ。