「・・・しませんよ・・・結婚なんて。」

溜息混じりに吐かれた言葉に、メディカは思わず「え・・・。」と漏らしていた。

「言ったじゃないですか・・・！俺が好きなのはメディカさん、貴女です・・・！なのに、何であんな話しを信じるんです？！タブレの会長の孫と結婚なんて・・・。たった１度会っただけの女（ひと）と・・・。有り得ないでしょ・・・。」

顔を顰め一気に言う呆れたと言わんばかりのその顔は、ハァァ・・・と深い息を吐くと

「だから、結婚なんてしませんから、俺！」

と、メディカの瞳をキッと力強く見つめるのだった。

怒った様なその青い瞳に見つめられ、メディカはビクリとするも、胸をずっと苦しめていたものがその瞬間に打ち消されたのは確かで

「・・・。・・・なんだ・・・。そうなんだ・・・。あぁ・・・よかった・・・。」

安堵した様に微笑み言うその瞳からは、涙が溢れそうになっていた。

どんな反応を彼女が示すのか？

そんなこと想像すらしていなかった。

ただ、彼女がしているであろう誤解を解きたかった。

「メディカさん・・・。」

ポツリ名を呼ぶと、メディカは目の前の逞しい胸に縋り付き

「よかった・・・。よかった・・・。」

と、トランクスの胸に顔を埋めた。

自分の胸で、安心した様に「よかった。」と何度も繰り返し言うその姿に、トランクスは優しく微笑むと、小さく震える華奢な身体を包み込み

「もう一度言います。俺はメディカさんが好きです。」

と耳元で囁くのだった。