カルテ96
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研修期間が終われば、すぐこの町に帰って父の診療所で働くのも悪くないー。
そんなふうに思うのは、もう西の都に未練がないからだろうか・・・。
メディカは買い物を終えると、真っ直ぐ家には帰らずに、そんな事を思いながら町を歩いた。
しばらく歩いていると
「あ・・・。ここ・・・。」
と、むかし母とよく来た公園へと来ていた。
町の規模からすると、やや広すぎるこの公園には立派な噴水やバラ園まであり、町の人の憩いの場となっている。
メディカは懐かしく思い公園に入ったが、3月下旬のまだ肌寒い風が吹く公園には人の気配はなく、寂しさが漂っていた。
子供の頃、ここで母とお弁当を食べたことやバラの咲く季節にはバラ園にあるバラのアーチをくぐったこと、秋にはどんぐりを拾ったこと―。
そんな懐かしい記憶のページを捲りながら歩いていると、一番奥にある噴水広場まで来ていた。
メディカは噴水を囲むように置いてあるベンチに座ると、少し陽が傾き始めた空を見上げ
「ここも全然変わってないな・・・。」
と呟き、一層寒々しさを際立たせる〝サーッ〝と噴き上げる水の音を聞いた。
感傷に浸るにはとっておきのこの場所で、メディカは深い溜息を吐くと、忘れなければいけない彼のことを想った。
この2ヵ月、外科研修医として奮闘しながら、心の中にいる彼の存在を何とか追い出そうとしたが、未だにそれは出来ずにいる。
段々心が冷えてくるのを感じながら、メディカは目の前で寂しく噴き上げ続ける噴水を見つめると、また一つ、深い溜息を吐いたのだった。
そんなふうに思うのは、もう西の都に未練がないからだろうか・・・。
メディカは買い物を終えると、真っ直ぐ家には帰らずに、そんな事を思いながら町を歩いた。
しばらく歩いていると
「あ・・・。ここ・・・。」
と、むかし母とよく来た公園へと来ていた。
町の規模からすると、やや広すぎるこの公園には立派な噴水やバラ園まであり、町の人の憩いの場となっている。
メディカは懐かしく思い公園に入ったが、3月下旬のまだ肌寒い風が吹く公園には人の気配はなく、寂しさが漂っていた。
子供の頃、ここで母とお弁当を食べたことやバラの咲く季節にはバラ園にあるバラのアーチをくぐったこと、秋にはどんぐりを拾ったこと―。
そんな懐かしい記憶のページを捲りながら歩いていると、一番奥にある噴水広場まで来ていた。
メディカは噴水を囲むように置いてあるベンチに座ると、少し陽が傾き始めた空を見上げ
「ここも全然変わってないな・・・。」
と呟き、一層寒々しさを際立たせる〝サーッ〝と噴き上げる水の音を聞いた。
感傷に浸るにはとっておきのこの場所で、メディカは深い溜息を吐くと、忘れなければいけない彼のことを想った。
この2ヵ月、外科研修医として奮闘しながら、心の中にいる彼の存在を何とか追い出そうとしたが、未だにそれは出来ずにいる。
段々心が冷えてくるのを感じながら、メディカは目の前で寂しく噴き上げ続ける噴水を見つめると、また一つ、深い溜息を吐いたのだった。