「じゃあ、私もお母さんみたいにいつも笑顔でいなきゃね・・・。」

そう言う娘の寂しそうに笑う顔に

「ハハハッ。研修医生活は厳しいか。」

と笑うと

「この間まで外科研修だったから・・・。私にはやっぱり外科は無理そう・・・。」

しょんぼりする娘に

「メディカは母さんに似て不器用だからな。」

クリニクは可笑しそうに笑うと

「そこは似なくてよかったのに・・・！」

と、メディカは口を尖らせた。

そんな娘を笑いながら、親子揃って歩いていると、墓地の入り口まで下りて来ていた。

「私、このまま夕飯の買い物してから帰るね。」

「ああ、悪いな。」

「何か食べたい物ある？」

「そうだな・・・。久し振りにメディカの作ったハンバーグが食べたいな。」

「分かった。それじゃ、帰ったら午後の診療手伝うから。」

「頼りにしてるぞ、研修医さん。」

「ふふっ、任せて！じゃあ、買い物行って来るね。」

メディカは小さく手を振ると、町のメインストリートの方へと歩き出した。




小さなこの町に帰って来るのは、毎年母の命日の今頃だった。

子供の頃からちっとも変わらない町並みは、今となっては懐かしくて安心する。

「変わらないなー・・・。」

そう言って、いつも買い物に行っていたスーパーに入ると、メディカは夕飯の買い物を始めた。

店内を歩いていると、自分を知ってくれている人たちが声を掛けてくれ、その度に心が温かくなる。

それも、父がこの町で医者として頑張っているからのことだと思うと、メディカは改めて父を尊敬した。