カルテ96
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山間にある町は、西の都と比べると春の訪れはまだ遠そうだった。
肌寒い風が吹く中、メディカは父親のクリニクと共に町外れの小高い丘にある墓地へと来ていた。
半円状の墓石に花を手向け、2人は静かに並んでその墓の下に眠るかけがえのない人を偲んだ。
風雨に晒され、くすんできた墓石が、この場所に建てられてからの年月を物語っている。
「もう、15年か・・・。」
そう呟く父の言葉に
「・・・早いね・・・。」
と、メディカは寂しく微笑むと、次には
「私、もう25歳になるんだ・・・。」
そう言って苦笑いを浮かべた。
そんな娘に
「もう、立派な大人だな。」
微笑みを向けると
「立派かどうかは、分からないわよ。」
ふふっと可笑しそうに笑うメディカを、クリニクは優しい眼差しで見つめた。
15年―。
男手一人で育てた娘は、自分が思った以上に良い娘に育ってくれた。
父親として、どうやって娘と接していけばいいか悩んだ時期もあったが、メディカはそんな悩みなど無用とでも言う様に、父親である自分を支えてくれた。
夏の終わりに会った頃より、少し大人びて見える娘に
「そろそろ、帰るか。」
と声を掛けると
「うん。そうだね。」
そう言って微笑む顔は亡くなった妻によく似ていて、クリニクは目を細めた。
「母さんに似てきたな。」
「え、そう?」
「ああ。笑った顔なんてそっくりだ。」
「ホント?お母さんの笑った顔、好きだったから嬉しいな。」
「ああ。父さんも好きだったよ。」
「お母さんいつも笑顔だったしね。」
「そうだったな。」
肌寒い風が吹く中、メディカは父親のクリニクと共に町外れの小高い丘にある墓地へと来ていた。
半円状の墓石に花を手向け、2人は静かに並んでその墓の下に眠るかけがえのない人を偲んだ。
風雨に晒され、くすんできた墓石が、この場所に建てられてからの年月を物語っている。
「もう、15年か・・・。」
そう呟く父の言葉に
「・・・早いね・・・。」
と、メディカは寂しく微笑むと、次には
「私、もう25歳になるんだ・・・。」
そう言って苦笑いを浮かべた。
そんな娘に
「もう、立派な大人だな。」
微笑みを向けると
「立派かどうかは、分からないわよ。」
ふふっと可笑しそうに笑うメディカを、クリニクは優しい眼差しで見つめた。
15年―。
男手一人で育てた娘は、自分が思った以上に良い娘に育ってくれた。
父親として、どうやって娘と接していけばいいか悩んだ時期もあったが、メディカはそんな悩みなど無用とでも言う様に、父親である自分を支えてくれた。
夏の終わりに会った頃より、少し大人びて見える娘に
「そろそろ、帰るか。」
と声を掛けると
「うん。そうだね。」
そう言って微笑む顔は亡くなった妻によく似ていて、クリニクは目を細めた。
「母さんに似てきたな。」
「え、そう?」
「ああ。笑った顔なんてそっくりだ。」
「ホント?お母さんの笑った顔、好きだったから嬉しいな。」
「ああ。父さんも好きだったよ。」
「お母さんいつも笑顔だったしね。」
「そうだったな。」