そう呟くと、宙に浮かんだまま途方に暮れた。

青い空の中にただ浮かびながら

「結婚したら、気安く女友達とも会えなくなるもんねぇ。」

「お相手はタブレ社の会長のお孫さんだって？綺麗な人だからお似合いだって、メディカ先生が言ってたよ。」

と言う、さっきのおばさんの言葉が甦った。

結婚ー。

その単語に、自身が困惑した。

そして、この２ヵ月。彼女から音沙汰が無くなっただろう理由が分かると、知らずと拳を握っていた。

（そんな話しを信じるなんて・・・！）

彼女へ、そして、そんな話しを言いだしたタブレの会長へ、怒りとも恨みとも分からないグチャグチャした感情が込み上げてくる。

これ程までに１人の女性を欲し、執着している自分を慰める様に、暖かい陽射しを纏った風が全身を撫でていった。

そして、午後の空の一番高くまで昇って輝く太陽が恨めしく

「クソッ・・・！」

と睨むと、太陽は嘲笑う様に強く輝いていた。

眩しい光から目を逸らし、逢いたくて仕方ない彼女のことを想い項垂れると、優しく微笑む顔を思い出した。

そして次には、申し訳なさそうに眉を寄せる顔、拗ねた顔に真剣な顔、そして泣いた顔―。

様々な表情の彼女を思い出していると、ふと、カプセルコーポで同居が始まった頃に

「出身は、西の都と中の都の間にある町なんです。」

と、彼女が話していたことを思い出した。

「・・・そうだ・・・。そうだよ・・・！！」

それを思い出すと、トランクスは浮いた体を中の都の方へと向け

「よしっ！」

と決心した様に唇を結ぶと、勢いよく中の都方面へと飛んだのだった。