誤魔化しながらそう言うと

「あー、そうだったの。それは、残念だったわねぇ。」

おばさんは眉を寄せ笑ったかと思ったら、その顔は次に含み笑いへと変わり

「結婚したら、気安く女友達とも会えなくなるもんねぇ。」

と、続いたのだった。

突然出てきた「結婚」という２文字にピンとこず

「え・・・結婚・・・？」

と、きょとんとした顔を向けると

「ああ、そうだ！お祝いを言わなくちゃね。おめでとう！お相手はタブレ社の会長のお孫さんだって？綺麗な人だからお似合いだって、メディカ先生が言ってたよ。」

ひそひそと耳打ちする様に言われた、全く身に覚えの無い話しに

「な、何ですかその話し・・・？」

と、尋ねると

「え・・・？タブレ社の会長さんが、孫娘があんたと結婚するんだって言ってたって、院内で噂になってたよ。あ。でも、すぐ緘口令が敷かれたみたいで、誰も口にしなくなったけどね。でも、もう外には漏れてるだろうから、マスコミ関係には気を付けなよ！」

そう言って渋い顔を向けられ、トランクスは目の前が歪んだ気がした。

寝耳に水。

晴天の霹靂。

とはまさにこのことだ。

自分の知らない「結婚話し」に心臓がドクンドクンと鳴り出し

「そ、その話し、いつのことですか？！」

と訊ねると

「え？あー・・・確か年が明けてすぐくらいだったかねぇ。」

思い出す様に視線を上に向けるおばさんのその言葉を聞くなり、トランクスはハッとした顔をすると

「ありがとうございますっ！！」

と玄関へと向かって走り、そのまま気を上げると勢いよく空へと向かったのだった。