しばらく窓の外を眺めていたトランクスだったが、グッと手の中の電話を握ると勢いよく椅子から立ち上がり、そのまま窓を開けると外へと飛び出していた。

しばらくして

「失礼致します。」

と秘書が社長室に入ると、誰もいない窓が開け放たれた部屋には、吹き込んでくる少し冷えた風で舞い上がった書類が部屋中に散らばっていた。

久し振りの逃亡に、やられたとばかりにこめかみを押さえていた彼女だったが、フフッと笑うと

「これでやっと、仕事に身が入りそうね・・・！」

と、春めいてきた窓の外を見つめながら、やれやれというふうに微笑むのだった。

そして、太陽の光を近くに浴びながら、トランクスは西の都の病院へと向かっていた。

仕事中だろうメディカに逢えるという保証はないが、逢いたいという気持ちは抑えきれなかった。

（２ヵ月も我慢したんだ・・・！もういいだろう・・・！！）

眉を寄せ奥歯を噛みながらトランクスは３月の青い空を突っ切ると、人目も憚らずに西の都病院の正面玄関へと下り立った。

突然空から下りて来た、スーツ姿の青年に驚く人のことなど気にも留めず、トランクスは受付まで走ると

「すみません！メディカ先生に逢いたいんですけど！！」

と、懇願するように受付の女性を見つめた。

切羽詰った表情のイケメンにじっと見つめられ、頬を染めながら

「は、はい！メディカ先生ですね。しばらくお待ちください・・・！」

と言うと、女性は手元のキーボードを叩いてから内線に電話を掛け始め、トランクスはその様子を、逸る気持ちを何とか落ち着かせながら見守るのだった。