午後の晴れた秋空の下、メディカは車椅子に座る少女と共に病院の屋上へと来ていた。

日差しは暖かく穏やかで、広い屋上には少女と同じく看護師に車椅子を押されるお年寄りや、ベンチで本を読んでいる病衣姿の患者の姿が見られる。

高く澄んだ空を眺めていると

「メディカ先生。ルル元気になったかな？」

少し不安気な声が聞こえ

「大丈夫。きっと元気になってるわ。」

その声にメディカは明るく返事をした。

「早く帰って来ないかなー。ねぇ、お兄ちゃん来てくれるよね？」

そう言って後ろを振り返る少女に

「ふふ。大丈夫よ。さ、もうすぐ面会時間になるし、そろそろ病室に戻ろうか。」

そう言って車椅子を押した時だった。

「メディカさん！」

掛けられた声に驚き、声の方を振り返ると、そこにはルルを抱えたトランクスがにこりと微笑み立っていた。

「トランクスさん！？」

舞空術で来たことが明らかな彼は、いつもの様に窓から抜け出してきたのだろう。それを察したメディカは困った様な笑顔をトランクスへ向けると、トランクスもそれに気付かれたことに苦笑いを浮かべるのだった。

「お兄ちゃん、来てくれたのね！」

トランクスを見るなり、少女はパッと明るい笑顔を見せると、その腕に抱えられているルルを見つめ

「ルル！ルルは元気になった？！
」

と、トランクスを見上げるのだった。

「あぁ、大丈夫！ルルは元気になったよ。」

笑顔で答え、少女にルルを手渡し電源を入れると〝ウィン〝という起動音が微かに聞こえ、ルルの目に緑色の光が灯った。