彼女が他の男と接しているのを見るだけで、こんなにもドロリとした不安な気持ちに襲われるのかと痛感する。

そして、自分の知らない男たちが、いつ何処から彼女を狙って現れるかと思うと、気が気でならない。

そんな不安を抱え浮いていると、メディカは自宅マンションへ向かって歩き始めていた。




「ただいま・・・。」

そう言って部屋の照明を点け、中に入ると「ふぅ・・・。」と大きく息を吐いた。

溜まった疲れを吐き出し、やっと自分の居心地のいい場所に帰って来たことに安堵する。

コートを脱ぎキッチンへ行くと、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、ゴクリと一口飲み込んだ。

アルコールの入った身体に冷たい刺激が染み渡り、ふっとまた息を吐くと

（・・・バカみたい・・・。）

そう胸の中で呟いた。

トランクスさんに会える―。

少しでもそんな期待を抱いていた自分が嫌になる。

ブルマとブラからもらった、このドレス姿を見て欲しい・・・。

いつもと違う、着飾った自分を見たら、彼は何と言ってくれるだろうか。

そんな願望を秘めていた自分が虚しくなる。

「・・・着替えよ・・・。」

溜息混じりに呟いて、クローゼットのある寝室へ行こうとした時、ベランダの窓をノックする音がしてビクリとした。

（え・・・？）

カーテンを引いたベランダの窓を見ると、また小さく窓を叩く音がする。

（え・・・？何・・・？誰・・・！？）

５階という、高さのある部屋のベランダから聞こえるノック音に、一気に鳥肌が立ち固まっていると、ノックと共に聞き覚えのある声がした。