トランクスが、オレンジ色の髪をした彼女に向ける優しい顔は、自分と話している時と同じで

（あぁ・・・。やっぱりこの人は誰にでも優しいんだな・・・。）

そう思うと、とてつもない虚しさに襲われた。

そして、それと同時に、想いを伝えなくて良かったと思った。

きっと優しい彼のことだ。この想いを伝えてしまったら、要らぬ負担を掛けてしまっていたかもしれない。

そう思うと、この想いはずっとこの胸に収めておこうと、決意は固まるのだった。

無理に忘れ様としなくても、以前の恋人の様に自然とこの想いは消えて無くなっていく筈だ―。

メディカはそう考えつくと、グラスの中のワインをクッと飲み込んだのだった。




会場では招待状と引き換えに渡された、ビンゴカードを皆が手に持ち、ビンゴ大会が行われていた。

つくづく（ブルマさんはビンゴが好きなのね・・・。）と、メディカは苦笑いを浮かべながら、テラスから中の様子を窺っていた。

相変わらずの豪華景品がステージに並び、ビンゴになりカード片手にはしゃぐ声や落胆する声があちこちから聞こえてくる。

隣りからも

「チェッ！リーチにもならないよ！」

と、悪態を吐く声が聞こえてきて、その声にクスクス笑いながら「私もですよ。」と言うと

「本当に当たるのか、コレ？」

と、いつかのパーティーでも聞いたような台詞を、隣りの彼もぼやいていた。

その言葉に、またクスクスと笑うその顔を、トランクスが胸を詰まらせながら、遠く壇上からじっと見つめていることなど、メディカは気付く筈もなかった。