トランクスは自宅に着くなり研究室へと向かうと、ルルを作業台へと置き、ドライバーでルルの心臓部を再び開いた。

断線していた電源ケーブルと割れていたモーターの歯車を新しい物へと交換するという、トランクスにしてみれば３０分程度で出来てしまう様な簡単な作業だったが、最近手を動かしてなかったトランクスからすると、十分な気分転換となった。

「よし！これで動くはずだ。」

そう言って、ルルの首輪部分にある電源を入れると、ルルの目は緑色に光り、手足、そして尻尾を動かし始めたのだった。

本物の猫よりかは動きはぎこちないが、動き出したルルの姿を見ながら

「へぇ、なかなか可愛いな。ロボットなら病室にいても問題ないだろうし、入院中の子にはうってつけだな。」

そう言ってから、この猫型ロボットを自分に託した少女のことを思い出した。

まだ５、６歳といったところだろうか。

車椅子に座り、栗色の髪を二つに結んだあどけない少女は、足にギプスを付けていた。

「骨折なら、メディカさんが悲しむようなことはなさそうだな・・・。」

前足を舐めるルルの仕草を見つめながら、またあの夜の様にメディカが一人泣くようなことがあっても、もう自分には分からないのだと思うと苦しくなった。

傍にいれば、あの時の様に少しでも彼女を励ますことが出来るのに・・・。

そう思うも、自分にはその資格などないのだと思うとただ虚しかった。

「この気持ちを伝えたら、どうなるんだろうな・・・。」

緑色に光る目をこちらに向け、じっと見つめるルルに尋ねるも、ルルは何も言わずただこちらを見つめているだけだった。