『あの！メディカです！トランクスさん、いま何処にいますか？！そちらに行きますから、また電話下さい・・・！』

エアカーに置き去りにしていた、携帯電話に残された留守番電話を再生したのは、メディカを送って帰宅した直後だった。

留守番電話に残された切羽詰った声に、自分とはぐれたと気付いた時、彼女がどれほど慌てたかが、いやという程分かった。

人混みの中彼女を見つけ、思わず名前を呼んだ時に向けられた、あの安堵に満ちた表情は忘れられない。

大好きな彼女が隣りにいないことに気付かないなんて・・・。

そして、その原因が、彼女との邪なことを考えていた挙句のことだと思うと呆れ果て、ますます自分を殴りたくなった。

「今日こそは！」と思い、臨んだ花火デートが散々なことになったと思い、トランクスが肩を落とし、自室へと向かっていると

「トランクス！？もう帰って来たの？！」

と言う、今夜はあまり聞きたくなかった声が聞こえ、思わず溜息を零してしまった。

「あ、あぁ・・・ただいま。」

無理に微笑んで振り向くも、さすがは親だ。

「ははーん・・・。今夜はダメだったみたいね。」

目を細めにやりと笑う顔に「ははは・・・。」と引き攣った笑みを浮かべると、ブルマはお気の毒と言わんばかりに

「ま、無理強いはしなかったみたいでよかったわ。」

と、ニヤニヤ笑い

「でも、自分の気持ちぐらいは伝えたんでしょ？それだけでも十分じゃない！」

そう続けると、トランクスの顔はギクリとした様に更に引き攣ってしまい「ははは・・・。」と笑う声も出なかった。