西の都の病院から戻るなり、社長室には書類や来客が押し寄せ、今日の最重要課題である猫型ロボットのルルの修理へと手が回ったのは夕方の６時を過ぎた頃だった。

今日という日に、接待という予定が入っていなかったことを心から感謝し、積まれているファイルや報告書をデスクから追い遣ると、息抜きを兼ねてルルをデスクに置き、引き出しからドライバーを取り出すとルルの内部を探ってみた。

「あぁ、電源ケーブルの断線と・・・あとはモーター部分の歯車割れか・・・。やっぱりウチに持って帰ってからじゃなきゃ無理だな・・・。」

トランクスはドライバーでルルの心臓部を閉じると「よし！」と小さく決心し、受話器へと手を伸ばした。

『はい、社長。今日はもうお帰りでしょうか？』

「あぁ。家の方ですることがあってね。すまないがエアカーの準備を頼むよ。」

『はい。かしこまりました。』

運転手の丁寧な返事を聞いてから受話器を置くと、トランクスは椅子から立ち上がり、ふと夜が迫りつつある窓の外に目を向けた。

その視線の先には照明が灯る西の都の病院が見える。

また明日、あの場所でメディカに逢うことが出来るのだ。そう思うと口元を緩ませ、トランクスはルルを抱え社長室を出るのだった。

社長室の前にある秘書室では、パソコンに向かっていた秘書がいつもよりだいぶん早い帰宅をする社長に気付き

「お疲れ様です。」

と、手を止め席を立ち上がった。

「あぁ。残りの仕事は家で片付けることにするよ。じゃあ、また明日。お疲れ様！」

そう言うと、トランクスはルルと共にエアカーの元へと急ぐのだった。