夜の７時から１時間近く打ち上げられた花火は、とうとうクライマックスを迎え、怒涛の打ち上げに周りは昼間のように明るくなった。

「すごく綺麗ですね・・・！！」

そう言って瞳を輝かせるメディカの顔には、さっきの哀しげな表情は見られず、トランクスは内心ホッとしながら

「いつ観ても、花火はいいもんですね。」

そう返すと「はい！」と満面の笑みを返され、少々面食らった。

さっきのあの泣きそうな顔は何だったのだろう・・・。

そう思うも、聞くことは出来ず、トランクスは海風に流される白い煙を見つめるのだった。

花火の打ち上げが終わり、灯標に打ちつける波の音だけが聞こえ始めると

「それじゃあ、戻りましょうか。」

と言うトランクスに、メディカは慣れないお姫様抱っこをされると、２人は灯標の踊り場から浮き上がり、漁船が並ぶ港の方へと向かったのだった。



花火が終わり、町はまだ屋台を楽しむ人、エアカーやジェットフライヤーで町を離れる見物客と、祭りの終焉前の賑わいを見せていた。

「えっと・・・どうしましょうか？」

何かを期待しつつ、トランクスは緩んだ顔をメディカに向けると

「道が混むと思いますし、そろそろ帰りませんか。」

という冷静な答えが返ってきた。

「そ、そうですね！それじゃあ、帰りましょうか！」

トランクスはそう言うと、背負ったリュックの中に潜ませた、カラフルなアイテムによってムクムクと湧き出し始めた邪な気持ちを必死に隠し、メディカの手を握ると、エアカーの走る通りへと歩き始めたのだった。