「ええ。本当に綺麗ですね・・・。」

トランクスもそう相槌を打つと、隣りのメディカへとまた視線を向けるのだった。



パッと咲いては散るその様が、自分の抱く恋心に似ているとメディカは思った。

夜空を彩り、そして散っていく火の花を瞳に映し、その儚さに胸が締め付けられた。

そんな感傷に浸りながら、夜空を見上げふと思うのは、繋がれた温かい手と自分を抱える逞しい腕、そして先日抱きしめられた時に感じた彼の吐息だった。

（いい思い出・・・か・・・。）

メディカは胸の中でそう呟くと、寂しく微笑みを浮かべた。

そして、そんなメディカの隣りでは、トランクスが夜空を見上げる愛しい彼女を、今にも抱きしめたくてしかたがない衝動に駆られるのを、必死で抑えていた。

２人きりの海の上。

夜空に赤や青、黄色に紫と次々と火の花が咲き乱れては散っていき、打ち上げられる度に身体に響く重量のある音が次第に心地よく感じられる。

そんな幻想的な夜空を、無言のまま見上げていたトランクスの気持ちの盛り上がりは、最高潮に達していた。

誰にも邪魔されない最高のロケーションとチャンスに（よし・・・！今度こそ・・・！）と心を決め、隣りの大好きな彼女に想いを伝えるべく、意を決して隣りを見ると、そこにあった横顔に息を呑んだ。

夜空を見上げるその横顔は、何とも寂し気で、瞳からは今にも涙が溢れそうだった。

その横顔に、以前、南の海を見る泣きそうな彼女を思い出してしまい、トランクスは言葉を発することが出来ないまま、視線を夜空へと戻すと、心の中で溜息を吐いたのだった。