エアカーへと向かうトランクスの顔はユルユルで、浮かれ過ぎて窓から飛び出し、舞空術で空を飛び回りたい気分だった。

メディカを一目見るだけでいい―。

そう思っていたが、まさかあんな遭遇の仕方をするなど思っておらず、ただ運命を感じた。

図書室を覗いて、メディカの姿が目に入ると、昂る胸を落ち着かせるため一つ深呼吸をしてから中へと入った。

すると少女との会話が聞こえ、その様子からきっと困っているだろうメディカに助け舟を出すつもりで、ここぞとばかりに話しに割って入ったのだが、そんな自分に気付いた途端、かなり驚いたのだろう。目を大きく見開き「トランクスさん！？」と自分の名前を呼んだメディカの様子を思い出すと笑みが零れる。

あまり言葉を交わすことは出来なかったが、また明日がある。

そう思いながら、腕の中の黒い猫のロボットを見つめた。

まだ耳に残るメディカの声を思い返しながら、トランクスは数人が乗るエレベーターへと乗り込んだ。

黒い猫ロボットを抱えるスーツ姿の男に、皆一瞬不思議そうな目を向けたが、すぐにその視線は分散した。

確かに違和感があるだろうこの状態に苦笑いしながらルルを見つめ、あの少女とこのロボットのおかげで明日またこの場所へと来ることが出来るのだと思うとにやけずにはおられなかった。

緩んだ顔のままエアカーへと向かうと、そこには秘書が苛立った様子で待ち構えていた。

「すまない・・・遅くなった。」

そう言って黒い物体を抱きかかえ、苦笑いを浮かべる上司を、秘書はただ怪訝そうに見つめるのだった。