花火大会の会場とっなている町に着いたのは、午後４時を回った頃だった。

途中、休憩がてら立ち寄ったパセリシティから約１時間程エアカーを走らせた場所にあるその町は、漁船が数多く並び、規模は小さいがヨットハーバーもある港町で、南の都の様なリゾート地の華やかさは無いが、穏やかな雰囲気が漂う静かな町だった。

そんな港町の海を助手席から眺めていると

「花火は海から上がるそうですよ。」

運転席からしたその声に、メディカは「海上花火なんですね！」と目を輝かせた。

初めて見る海上花火とはどれ程綺麗なものだろうか・・・。海を眺め想像していると、エアカーの速度が緩やかに落ちていった。

前を見れば、町の中心へと向かう車やエアカーの列、頭上には多くのジェットフライヤーが停まっているのが目に映り

「うわぁ・・・すごい人ですね・・・！」

と驚きの声を上げると

「今年も大盛況みたいですね。」

と、トランクスの明るい声が返ってきた。

昨年好評だった季節外れの花火大会は、口コミやマスコミの力が手伝い、今年は更に集客数が増えているのは間違いなさそうだ。

人口が６万にも満たない小さな港町に、この１日だけで何万という観衆を集めるこのイベントは、来年も更に集客を増やしていくに違いない。

このイベントを町興しとして企画し、奮闘する町の人達の力に、いち経営者として人を動かすということが容易でないことをよく知っているトランクスは、ただただ感心するのだった。

そんなことを思いながら、渋滞し始めた道をエアカーでノロノロ進んでいると、メイン会場となっているらしい屋台群が見えてきた。