彼女に視線を向けられるだけで、未だに動揺してしまうのはどうにかならないものか。

ドキドキと早く打つ心音になど、もちろん気付いていないメディカを恨めしく思いながら

「悟天がメディカさんに会いたいからって、ウチを飛び出して病院に行ってしまったんですよ。メディカさんは仕事中だから、って止めたんですけど・・・。」

苦笑いを浮かべると

「ふふっ！そうだったんですか。」

と、可笑しそうに笑う声が聞こえてきた。

全く悟天に付き合わされて、マヌケなことをしたもんだと凹みながら

「メディカさんに会いたくて、病院に行くなんて・・・本当に軽率でした。」

そう零すと

「ふふ！そうですね。でも、悟天君なら何だか許せちゃいます。」

クスリと笑うメディカのその言葉が妙に、いや、もの凄く引っ掛かった。

「悟天なら許せる」という、その特別感が腹立たしい。

確かに悟天は父親である悟空に似て、人に好かれ愛嬌のあるキャラクターであるのはよーく知っている。

そして、その天性ともいえる性質が自分には永遠に備わらないことも知っている。

それが分かった時から、悟天の持つその天性に嫉妬し羨ましく思っていたが、メディカにもそれがいかんなく発揮されていると思うと腹立たしくて仕方ない。

思わずハンドルを握る手に力を込めていると

「売店のおばさんと、悟天君は憎めないタイプだって話してたんです。あ、そう！おばさんが次は好きな物サービスするから、また来てって言ってました。このこと悟天君に伝えてもらってもいいですか？」