そう言うトランクスの微笑む顔は、雨夜の車内でも何となくぎこちなく見えた。

その顔に「・・・それでは、おやすみなさい。」と言って名残を惜しみつつエアカーを降りようとすると

「メディカさん・・・！」

と名前を呼ばれ振り返ると

「あ、あの・・・！来週もまた逢えませんか？」

青い瞳にそう聞かれ、メディカの胸はキュッとなった。

じっと自分を見つめる端整な顔に、少しづつ顔が熱を持つのを感じながら

「え、っと、来週は・・・。・・・。・・・はい、大丈夫です。」

頭の中で来週の予定を必死で思い出してから答えると

「ホ、ホントですか！あ、あのそれじゃあ、何処か行きませんか？」

強張っていた顔から一転、嬉しそうな明るい表情を見せるトランクスに「はい。」と微笑むと、こちらを見つめる顔が少し紅潮して見えたのは気のせいかな、とメディカは思った。

「恋愛には奥手。」

そんなふうには全く見えない彼だが、本当にそうなら、こうしてデートに誘ってくれるのは「何故ですか？」そう尋ねてみたくなるも、聞いてしまえばこの曖昧な関係が終わってしまう気がして、メディカは聞くことは出来ず、代わりに

「今度は、トランクスさんの行きたいところに行きませんか？」

そう言うと

「え・・・俺のですか？」

と、青い瞳が見開かれた。

「はい！なので、来週までに考えておいて下さいね。」

メディカは「楽しみにしてます。」と微笑むと、エアカーのドアを開け、雨の中をマンションのエントランスへと駆け込むと、エアカーのトランクスへと小さく手を振るのだった。