そんな、さっきのことなど何もなかったかの様に振舞うメディカを、トランクスは複雑な心境で盗み見ていた。

後悔と動揺でグラグラしている自分とは違い、隣りに座る彼女が母や妹といつもと変わりなく会話を楽しんでいる様子に、不安が増していく。

（メディカさん、何とも思ってないのかな・・・？って言うか、もしかしてもの凄く怒ってるとか・・・。）

そんなことを考え戦々恐々とし始めていると、前に座る父ベジータと目が合い、思いっきりビクリと身体を揺らしてしまった。

そんな息子の様子を、スプーンで掬い上げたスープを宙に浮かせたまま、じっと見つめていたベジータだったが、スッと視線をスプーンへと落とすと、スープを口へと運び始めた。

絶対に見られていない筈なのだが、何となく全てを見透かされている様なその視線に居心地が悪くなり、食事どころではなくなってきたところに

「それより、トランクス。あんたの身体、今日は酷いことになってるんじゃない？仕事の方は大丈夫なんでしょうね？」

顔を顰めるブルマの声が飛んできた。

それに「えっ？！あ、あぁ、大丈夫だよ。」と答えると、次には

「ベジータ、気を付けてよ。この子一応会社の顔なんだから。とりあえず、顔に傷付けるのだけはやめてよね！」

と続いた声に

「文句を言うなら、俺じゃなくトランクスに言うんだな。すべて修行を怠け続けている結果だ。あの程度の修行でこのザマとはな。今はもうウーブの方が断然上だ。サイヤ人として情けないと思え。」

ジロリと目の前の自分を睨むベジータに、トランクスはますます居心地が悪くなった。