ホスピはそう言ってから、たった今売店から立ち去って行った、２人の青年の後ろ姿を眺めた。

「ふふっ！今、メディカ先生のボーイフレンドが来たんですよ。」

いつものドーナツを紙袋にいれながらそう答えるおばさんに

「へぇ。」

と、ホスピは驚いた様な声を出すと

「メディカ先生も隅に置けないわ。あんな素敵なボーイフレンドが２人もいるなんて！」

嬉しそうに話すその顔を見てから、建物の外へと出て行く後ろ姿を再び見つめた。

「そう・・・。まさか彼だったとはね。」

１人呟くホスピに

「あら？もしかして先生。あの子たちご存知なんですか？！」

キラリと目を輝かすご婦人に

「うーん・・・。まぁね。」

と、ホスピは曖昧な返事を返しながらドーナツを受け取ると

「知ってるんですね、先生！で、メディカ先生の彼はどっちなんです？！」

興奮するその声をかわすように

「僕の口から言うのもね。まぁ、メディカ君に直接聞いた方がいいよ。」

そう言っていつもの穏やかな笑顔を浮かべ「ありがとう。」と、小銭をショウケースの上に置くと、ホスピは「ちょっと、せんせー！！」という悔しそうな声を背中で聞きながら、医局の方へと戻って行くのだった。

「ふーん・・・。まさか、ブラさんのお兄さんだったとは驚いたな。」

誰もいないエレベーターホールで、ホスピはポツリと呟くと

「ふふん。メディカ君に会ったら、次はこの話しでからかってみよう。どんな顔をするのか楽しみだなー。」

と、ドーナツの入った袋を握り締め、１人ほくそ笑むのだった。