「目立つんですよ、二人とも」

　溜息交じりに、そう答えた。

「目立つだと？」　

　向けられる視線を苦々しく思っているようで、不快感を露わにする父さんに

「はい。目立つんです。お二人ともカッコ良過ぎるんで」

　真琴さんは呆れたような顔で答えた。

　その答えに「なっ？！」と、顔を歪ませる父さんと同じく、俺も「えっ……」と驚いた声を漏らしてから

「はは。まさか……」

　そんな理由で、これだけ視線を浴びることになるとはとても思えず、乾いた笑いを浮かべた。

　すると

「二人とも、自覚ないんですね……！」

　梨子さんは信じられない。といったような顔で俺たちを見つめながら

「いいですか！　分かってないみたいですけど、二人ともすっっごくカッコイイんです！　間違いなくイケメンなんです！！　だから、みんな見てるんです！　噂してるんです！　向こうの地球では何も言われなかったかもしれないけど、ここでは絶対にモテるんです！！　だから、もっと自分たちがカッコイイってことを自覚して下さい！」

　珍しく口調を強くした。

　そんな梨子さんの勢いに押され「は、はぁ……」と答える俺の隣りで、父さんは照れているのか、小さく舌打ちをしてから、そっぽを向いた。
　
「ナンパされるかもしれませんから、気を付けて下さい！」

　最後に、ムッとした表情で釘を刺す梨子さんに「それはない」と思うと同時に、たったいま、大好きな彼女から「カッコイイ」なんて嬉しいことを言われたことに気が付き、顔が思いっ切り緩みそうになった。