それに、少々我が強い菜奈さんのことだ。

　きっと二人は、菜奈さんに振り回され、着せ替え人形のように、あれこれ着替えさせられたんじゃないだろうか。

　だからあの日。買い物から帰って来たトランクスさんとベジータさんの顔が疲れていたわけだ。

　それを思い出し

「……大変でしたね」

　思わず、同情の言葉をかけると、私が何かを察したことに気付いたのか

「いえ……！　必要以上に買って頂いて、菜奈さんには本当に申し訳ないです……」

　トランクスさんは、弱い笑顔を浮かべながら、感謝の言葉を口にした。

　梨子の家なら、穏やかに過ごせるだろうと思ったが、案外そうでもなかったか……。

　菜奈さんの、二人に対する予想外の対応に唸ってると

「申し訳ないなんて思うことないですよ」

　梨子が、気にするなというふうに言ってから

「お姉ちゃん、トランクスさんとベジータさんの服を買うのが楽しかったみたいで、また買い物行きたいって言ってましたから」

　そう続けた。

　その顔は、笑っているが、目は笑ってない。

　菜奈さんが二人……いや、トランクスさんと出掛けられる理由があることが、羨ましいんだろう。

　……なるほど。嫉妬か。

　やっぱり、このトランクスさんに対して、梨子が恋愛感情を持ちはじめたことを確信し、あまりの面倒臭さに、盛大な溜息が出そうになった。

　何で、いまなんだ？！

　この地球に帰って来たタイミングで好きになるなんて、最悪の結末しか待ってない。

　私はつくづく、恋愛に縁がない幼馴染に、同情した。