ワインレッド色のロングＴシャツ。それに、カーキー色の太めのカーゴパンツ。
　
　秋らしい、落ち着いた色合いの服も似合うもんだな。

　そんなことを思っていると

「何だ？」

　ベジータさんに睨まれた。

　不快そうなその顔に

「いや。その服似合ってるなと思って」

　正直な感想を述べると

「っ？！」

　ベジータさんは、まさか褒められるとは思ってなかったのか、途端に、恥ずかしそうな表情を見せた。

　……一応、褒められたら照れるんだ。

　ベジータさんの意外な反応に、可愛らしい面もあるじゃないか。

　などと思ってると

「だよね！　シンプルなのに、おしゃれに見えるよね！」

　梨子も、同感だといったふうに過剰反応し

「お姉ちゃんてば、むかしショップ店員やってただけあって、分かってるよ」

　次に、姉の菜奈さんを褒めた。

「菜奈さん？　その服、菜奈さんが決めたの？」

　ベジータさんが、他人の意見を大人しく聞くことがあるのか！？

　そこに驚いてる私に

「うん。そうなんだって。ね、トランクスさん？」

　ベジータさんと同じく、菜奈さんにコーディネートされた服を着ているようで、トランクスさんは「ええ」と、困ったような笑顔を浮かべた。

　確かに、トランクスさんが、ボーダーのＴシャツを着てるのは珍しい。

　でも、トランクスさんは自分に似合う服を知っている、おしゃれさんだ。

　別に、菜奈さんにコーディネートしてもらわなくてもよかっただろう。

　そう思ったが、お金を出してもらう手前、従わざるを得なかっただろうことが、その困った笑顔から想像出来た。