私の家から龍泉寺までは、歩いて十五分程。

　地元住民しか通らない、歩道もない住宅地の道路を、北に向かって歩いて行く。

　この道は通学路でもあるから、通い慣れた道ではあるが、週末で天気も良いからか、今日は車の交通量が普段より多く、歩きにくい。

　地元住民だけでも、これだけ移動してるなら、日本全国、さぞ多くの人間が移動してることだろう。

　そう思うと、桟橋のある海側エリアに行くのが、ますます億劫になった。

　何事もありませんように……。
　
　無事一日が終わることを祈りながら、私は住宅地に囲まれた龍泉寺の門をくぐった。

　門をくぐり、少し歩くと、本堂。

　そして、本堂の先に、住職一家が住む「庫裡」と呼ばれる住宅がある。

　私は境内を進み、庫裡まで行くと、昭和な雰囲気が漂う家にはアンバランスな、カメラ付きの真新しいインターホンを押した。

　ピンポーン。

　お馴染みの機械音が鳴り、しばらく待つと、おばさんが出た。

『あ、真琴ちゃん。こんにちは。ちょっと待っててね』

　来客が私だと分かっていたようで、そう言うとすぐに通話を切り、梨子たちを呼びに行ったようだった。

「ご迷惑おかけしてます」って言いそびれたな……。

　そんなことを思ってると、ガラガラガラと玄関の引き戸が開き、梨子とトランクスさん、そしてベジータさんが出て来た。

　玄関から出て来た、異星人親子……特にベジータさんの姿を見て、私は一瞬ポカンとしてしまった。

　何でって。それはあまりにもイケオジだったからだ。