もし、ブルマがこの星に来たなら、どんな反応をしただろう。

　車というより、ヘリコプターに近い、プロペラがいくつも装備された機体が浮かぶと、リポーターは更に興奮し、声を張り上げた。

　その姿が滑稽で

「何が『空飛ぶ車』だ。プロペラを載せただけだろ」

　鼻で笑う俺に対し

「確かに、アナログ感は否めませんが、母さんがこれを見たら、新しいアイディアが浮かぶかもしれませんね」

　トランクスは肯定的な姿勢を崩そうとはしなかった。

　それが気に食わなかったわけじゃない。

　が

「こんなモノを見て、アイディアが浮かぶとは思えんがな」

　馬鹿にして言うと

「それは分かりませんよ。母さんの感性は独特ですから」

　トランクスは、何かを思い出したように、可笑しそうに言ってから

「もしかしたら、タイムマシン以上にすごい発明を思いつくかもしれません」

　冗談とも本気とも取れる言葉を続けた。

　そんな息子の言葉に

「タイムマシン以上か……。フッ。確かに、ブルマなら有り得ん話しじゃないな」

　これまで、あらゆる発明品を完成させる度に、得意な顔をする妻の顔が目に浮かんだ。

　いまは、新しいエネルギーの研究をしているらしく、発明の方はおざなりになっているようだが、その研究が上手くいけば、また驚くようなモノを造りだすのだろう。

「この地球で見るくだらんモノが、ブルマの発明の役に立てばいいがな」

「来た以上、タダで帰るのは勿体ないですから。俺は出来るだけ、土産話を持って帰りたいと思ってます」

　画面から聞こえてくるプロペラの音は、次第に騒々しくなっていった。