「日本」という国は、この地球では比較的豊かで、治安も良い平和な国らしい。

　千年を超える歴史と文化を持つ一方で、現在の最先端技術と独自のカルチャーも持ち合わせている。

　その二面性に魅かれ、この国には世界中から観光客が集まって来るようだ。

　真琴が俺たちを「日本を訪れた観光客」という設定にした理由が、この時分かった。

　おかげで、梨子の家族に怪しまれることなく、俺たちはすんなりと、この家で世話になることになったわけだ。

　少しは警戒しろと言いたくなるが、寝床だけでなく腹も満たすことが出来るのだから、俺たちからすれば、都合がいい。

　遠慮なく、時の界王神と連絡が着くまで、この家に留まってやる。そう思った。

　つらつらと、画面に映し出された文章を読み上げていたトランクスだが、急に黙り込み、食い入るようにパソコンの画面を黙読しはじめた。

　熱心にパソコンの画面を覗き込む息子の背中に、どうかしたのかと問うと

「スゴイな……」

　トランクスは信じられないといった声を漏らした。

　トランクスが見つけ、読んでいたのは、この「日本」という国の歴史について書かれた文章だった。

　信じられん話しだが、この国は現在も、千年以上同じ血統の者が王として君臨しているという。

　そんなに長く、同じ王家の血筋が続いているなど、他の惑星でも聞いたことがない。

「どうせデタラメだ」

　吐き捨てるように言うと

「しかし……この国の人たちは、ずっと天皇という王の存在を敬っているようです」

　トランクスは興味深そうに言ってから、文章の続きを黙読しはじめた。