「ちょっと、ベジータ！　こんなところで戦われたら、家が壊れちゃうじゃない！！　戦うなら、他所でやってよね！！」

　ブルマの慌てる声が、聞こえてきた。

　声の方を見ると、ブルマに抱っこされるブラやブルマの両親、あの娘たちの姿が目に入り

「場所を変えるぞ」

　俺はミラに向かってそう言うと、カプセルコーポレーションから飛び去っていた。

　

　ミラと闘うため、人気のない場所を探し飛んでいると、追いかけてきていたミラの飛ぶスピードが、徐々に落ちていることに気が付いた。

　ヤツめ、何をしてやがる……？

　訝しみながらも、飛行を続けていると、岩山に囲まれた、荒涼とした大地が目の前に現れた。

　ここでいいだろう。

　戦いに適した場所を見つけ、そこへ急降下した、その時。

　ついて来ていた筈のミラの気配が、忽然と消えた。

「何っ？！」

　慌てて後ろを振り返ったが、ヤツの姿はどこにも無く

「くそっ！　どこに行きやがった！！」

　拳を握りながら、ミラの気配を探っていると、カプセルコーポレーションの方角に、あの不気味な気配を微かに捉えた。

「どうなってやがる……？！」

　何が起きたか分からず、来た方を睨んでいたが、ヤツ等が「時空を自由に移動出来る」という、トランクスの言葉を思い出し

「クソッ！　あいつ等の目的は、こういうことか！」

　ヤツ等に、まんまと嵌められたことに気が付いた。

　あいつ等の狙いは、最初から、あの娘だけということか……！

　俺はヤツ等の企みに気付くと、奥歯を噛み、また、カプセルコーポレーションへと急いで引き返した。