「いや、だって……。見てのとおり、ウチはブルマさんのお家みたいに広くないし、しかもお金持ちじゃないから、私たちがしてもらったようなことは絶対出来ないんです……。それが、本当に申し訳なくて……」

　梨子は更に眉を下げ、すまなそうな顔をした。

　この家が、見た目からして、ブルマの家の財力に敵わないことはとっくに分かっている。

　これまで、数多くの惑星を見てきたが、ブルマの家の財力を上回る家など、宇宙の中でもほんの僅かだ。

　だから、俺は別に、この娘の家に何の期待もしないことにした。

　ただ、元いた地球に帰れるまで、寝る場所さえあればそれでいい。

　そして、言わずとも、トランクスの考えも俺と同じで

「そんなこと、気にしないでください。俺たちは寝れる場所があるだけで、十分ありがたいんですから」
　
　トランクスの穏やかな口調が、俺の思いを代弁した。

　だが、娘はそう言われても納得出来ないらしく「でも……」と、気後れした表情を崩そうとしない。

　仕方なく

「トランクスの言うとおりだ。気にすることはない。ずっとここで暮らすわけじゃないんだからな」

　俺からも、トランクスがいま言ったことと、同じ意味のことを繰り返した。

　すると

「そうそう。あんなバカみたいにお金持ってる家の方が特別なんだから、気にすることないって！　それに、ウチよりあんたの家の方が断然広いんだから、大丈夫！」

　真琴も気にするなとばかりに、俺たちに同調してきた。

　……おい。ちょっと待て。
　こうなったのは、一体誰のせいだと思ってやがる。