三人掛けのソファには座りきれず、俺とトランクス以外の連中がダイニングテーブルの方に腰を下ろすと

「飲み物はコーヒーでいいですか？」

　梨子の母親が、俺とトランクスの顔を交互に見て、尋ねてきた。

「あ、はい」

　愛想良く返事をするトランクスの後に、俺も「ああ」と頷くと

「梨子と真琴ちゃんは、紅茶でいいわね」

　母親はそう言って、奥の部屋へと入って行った。

　何か企んでやしないか……？

　まだ、安心だと言い切れない状況に、辺りの気を窺っていると

「外国の方たちからしたら、日本の家は小さいでしょう」

　ダイニングテーブルに座る梨子の父親が、可笑しそうな表情を浮かべながら、声をかけてきた。

　それに対し

「い、いえ。そんなことは……」

　首を横に振るトランクスだったが

「いやいや、日本の家が小さいのは十分分かってますから。まぁ、こんな小さな家で申し訳ないですが、遠慮はいりませんので、好きなだけ泊まっていって下さい」

　梨子の父親は、ははは。と、何の他意もないふうに笑った。

　そして、それは、母親の方も同じで、奥の部屋からコーヒーを持って出て来るなり、俺たちの前にコーヒーを置くと

「あの、お食事なんですけど、何か食べたい物はあります？　やっぱり、お魚よりお肉の方がいいですか？」

　そう尋ねてきた。

　……警戒する必要はないのか？

　考えている俺の横から

「あ、いえ……！　何でも食べれますから、お構いなく……！」

　トランクスの答える声が聞こえてきた。