俺と父さんに向けられた、その視線は、不審感はないが「？」は浮かんで見える。

　もし、ここが本当に「第六宇宙の地球」だとすれば、俺と父さんはイレギュラーな存在だ。
　
　俺は、自分たちのことを、どう説明すべきか？　脳内を巡らせた。

　本当のことを話したとしても、きっと信じてもらえないだろう。

　それは、どこの宇宙へ行ったとしても、同じことだ。

　梨子さんの父親に、不審感を抱かれないようにするには、自分たちのことを、何と答えるのが正解か……。

　考えあぐねていると
　
「あの、実は……今日はお願いがあって……」

　真琴さんは困ったように、言葉を濁しながら、俺たち三人が、全く思ってもなかったことを、ツラツラと話しはじめた。



「よく、あんな大嘘が吐けたもんだな……！」

「ホントだよ！　あんな嘘、よく思いついたね……！」

　苦々しく言う父さんに、梨子さんも同調し、真琴さんに対して、非難と呆れとが混ざった声を漏らした。

　しかし、真琴さんは、二人の言葉など気にするようすもなく

「まさか、信じてもらえるとは思ってなかったけど……。ま、自分で言うのもなんだけどさ、私の人徳のおかげだよねー」

　むしろ、手柄だというふうに、自分が吐いた嘘を、肯定的に捉えていた。

　確かに、嘘を吐くのは、よくないことだが「嘘も方便」という言葉があるように、今回の嘘に関しては、仕方のないことだと思った。

　何故なら、その嘘と提案のおかげで、俺と父さんは、不審な人物ではなくなったのだから。