「また行きたいなって思ったんですけど、もう、無理なんですよね……」

　残念そうに呟いた梨子さんの言葉で、俺は忘れようとしていた現実に引き戻された。

　そう。もう、梨子さんが、俺たちの住む「第七宇宙の地球」に戻ることはない。ということを……。

　受け入れたくない現実に、言葉が見つからず、沈黙する俺に

「でも、ここ、少しあの島の雰囲気に似てません？　だから、あの島に行きたくなったら、またここに来ようかな」

　梨子さんは表情を緩め、ヘラッと笑った。

　その笑顔が、無理につくった笑顔にしか見えず、胸を軋ませていると

「トランクスさんとも来れて、いい思い出も出来たし！」　

　梨子さんは今度は、思い切り口角を上げた。

　その、寂しさを誤魔化すような、梨子さんの笑顔に

「俺も、この地球での思い出が一つ増えました」

　穏やかに微笑み返し

「でも、まだまだ思い出を作りたいと思ってるので、梨子さん、よろしくお願いしますね」

　そう言って、梨子さんが無理につくる笑顔に頼んでいた。

　俺の言葉を聞いた梨子さんは、キョトンとした顔をしていたが、すぐにハッとしたように茶色の瞳を輝かせ

「は、はい！　任せて下さい！」

　そう言って、嬉しそうな笑顔を浮かべた。



　レストランを後にした俺たちは、フラダンスというダンスショーを観覧し、最後に出口周辺に設けられたショップに立ち寄った。

　店内には南国を思わせる、色鮮やかでトロピカルな商品が並んでいる。