そう言った父さん。

　まさか、気を遣って……？！　

　ふと、そんなことを思ったが、すぐに、いやいや……そんなはずがない。と心の中で頭を振っていた。

　それに、もしそうだとしても、それはそれで恥ずかしい気もする……。

　きっと、父さんはこういう場所に興味がないだけだ。

　父さんが来なかった理由を心の中で呟き、自分を納得させていると

「やっぱり、ベジータさん来なかったですね」

　俺の心の中を読んだかと思うような発言が隣りから聞え、ギクリとした。

　隣りを見れば、梨子さんは苦笑いを浮かべていて、俺は彼女の

「……やっぱり？」

　という言葉を繰り返していた。

　すると、梨子さんは

「ベジータさんて、こういうところ好きじゃなさそうじゃないですか？」

　同意を求めるように、俺を見ると

「だから、多分行かないんじゃないかなーって思ってたんです」

　予想が当たったというふうに、可笑しそうに笑った。

　たったいま、俺が思っていたことと同じようなことを、梨子さんも思っていたのかと思うと可笑しくて

「そうですね」

　俺もつられるように、笑っていた。

　しかし、父さんがいないことに、少し寂しさのようなものはあり

「でも、せっかくだから、父さんも来ればよかったのにな」

　空に向かって高く伸びる、ヤシの木を見つめていると、少し間を空けてから

「そ、そうですよね！　ブルマさんたちへの土産話しにもなるし、ベジータさんも来たらよかったのに……！」

　梨子さんは取り繕うように、俺に共感の意を示した。