醤油ラーメン二杯と、目的の激盛り醤油ラーメン二杯を注文すると、店員の目が僅かに光った気がした。　

　しばらくして、私と梨子のラーメンが運ばれてきて、私たちはラーメンを啜りはじめた。
　
　あまり期待はしてなかったが、意外と美味しいラーメンを食べ進めてると
　
「お待たせしましたー！」

　威勢のいい声が店内に響き、激盛りラーメンが運ばれて来た。

　一杯のラーメンを二人がかりで運ぶという光景に、俄かに店内がザワつき、大盃ほどの幅があるラーメン鉢を目の当たりにした私と梨子も

「「うわ……！」」

　絶句に近い声を漏らした。　

　澄んだスープに五人前分の麺。

　その上に、まるでミニチュアのような、もやしや煮卵、チャーシューなどのお馴染みの具がのっている。

　……実際に見るとスゴい迫力だな。

　完全に引きながら、サイヤ人二人を見ると、どちらも余裕というような笑みを浮かべていた。

「それでは、制限時間は三十分となります」

　そう言って店員が席を離れるなり、二人は「激盛りラーメン」を食べはじめた。
　
　大丈夫だとは思っていたが、サイヤ人二人は余裕で「激盛りラーメン」を制限時間内に完食した。　

　しかも、ベジータさんは「完食時間十分」という、最速記録を叩きだした。

　この記録を破れるのは、恐らくこの地球にはいないだろう。

　驚きと喝采と呆然とが入り乱れたカオスな店内。

　私たちは醤油ラーメンの支払いだけを済ませると、その場から逃げるように、店を後にしたのだった。


　
　駅までの道を辿りながら

　付いて行かなくても大丈夫だな。