朝食を食べ終え部屋へと戻ると、先に戻って待っていたトランクスが「父さん！」と、明るい表情をこちらに向けた。

　その顔が何を意味してるのか、すぐに分かり

「これでようやく、本気でトレーニングが出来そうだな」

　空腹問題が解消したことで、大きな溜息を吐いていた。

　だが、返ってきたのは「ええ。そうですね」という、微妙に弱い相槌で

「どうした？」

　訝しみ尋ねると「あ、いえ……」トランクスは言葉を濁してから

「真琴さんから了承は得れたのですが……一緒に行くというのが条件でして……」

　困ったような笑みを浮かべた。

　それを聞いて、顔が引き攣ったのは言うまでもない。

「あいつは、俺たちを信用してないらしいな」

　苦々しく呟く俺に

「あ、いえ。そういうわけではなく……とりあえず最初だけはということらしいです。俺たちと周りのようすが見たいそうで……」

　トランクスは、取り繕うように続けた。

「周りのようすだと……？」

　思わず繰り返した俺は、ここに来たばかりの頃にショッピングモールと富士山とかいう山を見に、桟橋に行った時のことを思い出した。

　あの時は、やたら人の視線を感じ、居心地の悪い思いをした。

『はい。目立つんです。お二人ともカッコ良過ぎるんで』

　本気とは思えん、くだらん理由を真琴が言っていたが、今回もまた、あの視線をそこかしこから向けられるかもしれんということか？

　一瞬、顔が引き攣りそうになったが、そんなものは関係ない。

「それで、いつ行くんだ？」

　俺は話しの先を尋ねていた。