クソッ、食い足りん……！

　夕食の後、部屋に戻った俺は、空腹を紛らわすように畳の上に寝転がった。

　トレーニングをはじめて、一週間。

　トランクスのように、トレーニングの時間を早朝だけにすれば、これ程腹が減ることはないのだろう。

　だが、腹が減ると分かっていても、俺にはトレーニングを早朝だけに止めることなど出来なかった。

　真琴には人目に付かないよう、トレーニングは早朝と夜にするよう言われたが、一日何もすることがないうえ、格好の場を得たのだ。

　俺は昼間中、樹海で過ごすようになっていた。

「父さん、修行の時間を少し減らしてはどうですか？」

　無駄だと分かっているだろうが、トランクスが寝転ぶ俺に声をかけてきた。

　空腹よりも、トレーニングが出来ないことの方が、俺にとってはストレスだ。

　どちらかを選ぶしかないとなると、俺は迷わずトレーニングの方を選択する。

　なので

「それは出来ん」

　答えると、トランクスは嘆息し

「分かりました。空腹を満たすいい方法がないか、探してみます」

　梨子から借りたパソコンを開き、俺……いや、俺たちの空腹を満たす為の方法を調べはじめた。

　すると、すぐ。

「これはどうですか？」

　トランクスが、パソコンの画面を見せてきた。

　そこには『デカ盛り』という文字が書かれている。

「デカ盛り？」

「はい。一部の飲食店で提供されているメニューのようで、制限時間内に完食すると料金は無料になるそうです」

「ほぉ。そんなものがあるのか」

「ええ。この程度ならいけそうじゃないですか？」