「え？　知らない？　梨子に好きピが出来たってこと？」

　仁美は、周りを窺う素振りも見せず、平然と言ってのけた。

　それを聞いた私は、驚くと同時に、仁美という女の勘の良さに感心した。

　第七宇宙から戻って来て、間もなく二週間。

　この短い間に、梨子のトランクスさんに対して芽生えた感情に気付くとは……！

　梨子が、トランクスさんへ抱いている感情に気付いている唯一だった私にとって、仁美の存在が同士のように思えた。

　だが、私は

「好きなヤツ？」

　素っ惚けてみせた。

　すると、仁美は「え？　マジ？」と、意外そうな顔で私を見た。

　幼馴染だから、何でも知っている。

　そう思っているらしい仁美は

「へぇ、そっかそっか」

　今度は少し得意気な表情を浮かべると

「最近、梨子のようすが変だと思ったの、私だけってことかー」

　自分が何故、梨子に好きな相手が出来たと思ったのか、その理由を話しはじめた。



　仁美が、梨子に好きな人が出来たと思った理由は二つあった。

　一つは

「梨子がぼんやりしている」

　ということ。

　そしてもう一つは

「トランクスさんのことを聞きまくっていたら、梨子がイヤそうな顔をしはじめた」

　という、この二つだった。

　それを聞いて

「あいつのぼんやりはいつもだろ。それに、よく知らない外国人のことを、色々聞きまくられても困るって」

　梨子の態度を肯定するように言うと