案の定、俺の話しを聞いた真琴さんは、眉間に皺を寄せ

「知るわけないでしょ」

　呆れと苛立ちを匂わせた。

　そして

「全く、時の界王神様から連絡でもあったのかと思って、急いで来たんですよ？！」

　俺を睨んだ。

　予想通りの反応に

「ははは。そうですよね……」

　俺は力なく笑ってから

「多分、梨子さんが怒ってる原因は俺だと思うんです……。でも、それが何か分からなくて。それさえ分れば、もう一度謝りたいんですが……」

　そう言うと、自然と視線は下がっていった。

　そんな俺に同情してくれたのか、真琴さんは「はぁ……」と深い溜息を吐き

「まぁ、そもそも仁美に会ったことからしてダメなんですけどね」

　呟いてから

「で。仁美とどんな話ししたんですか？」

　溜息交じりに尋ねてきた。

　俺は一昨日の記憶を探り、仁美さんを交え三人で交わした会話の内容を、真琴さんに話した。

「いまの話しじゃ、別に怒るようなことなくないですか？」

「そ、そう思うんですが……」

「……他に何かありませんでした？」

「他？　……あ、ああ。お姫様抱っこをしました」

「は？」

「仁美さんにして欲しいと言われて……。それで……」

　俺が答えて直後、真琴さんは額に右手を当て、天を仰いだ。

　そのようすを見て

「あの……いけなかったでしょうか？」

　尋ねると

「あー……原因ソレです」

　真琴さんは、苦い顔で言うと

「つーか、何でしたんですか？」

　大きく溜息を吐いた。