翌日になっても、梨子さんの機嫌は直らないなままで、彼女はムスッとした顔のまま、学校へ行ってしまった。

　そんな梨子さんに、俺は密かに溜息が出た。

　一晩考えてみたが、彼女が不機嫌になった理由が分からない。

　不機嫌が今日も続くとなると、家の中の雰囲気も気まずいままだ。

　このままじゃダメだ。

　そう思った俺は、[#dn=３#]さんに助けを求めることにした。

　授業が終わる頃、俺は梨子さんたちの通う学校へ向かった。

　そして、学校の校舎の裏手に行き、そこで真琴さんに気付いてもらえるよう、大きく気を上げた。

　気を上げたことで、周りにあった木々がガサガサ！　と音を立て揺れはじめたので、俺はすぐに気を上げるのを止めた。

　気付いてくれただろうか……。

　少し不安に思いながら待っていると、しばらくして

「トランクスさん！」

　真琴さんが声を抑えつつ、校舎の方から走って来た。

「真琴さん！」

　気付いてもらえたことに安堵していると

「っどうかしたんですか？！」

　真琴さんは、ハァハァと肩で息をしながら尋ねてきた。　

　おそらく。今から話すことは、真琴さんにとってくだらないことだ。

　そして、真琴さんの機嫌も損ねてしまうだろう。
　
　しかし、それも仕方ない……！

　俺は決心すると

「あ、あの……実は。昨日から梨子さんの機嫌が悪くてですね……」

　真琴さんを呼び出した理由を話した。