ダイニングテーブルに座り、フーフーと息を吹きかけながら、おかゆを食べはじめた彼女に

「あ、あの。昼間は本当にすいませんでした……」

　こんな時に謝るのは、せっかくの食事が不味くなるかもしれない……。

　そう思いつつも、この機会を逃してはいけないと、再び頭を下げた。

　すると梨子さんは

「もう、いいですよ。怒ってないですから」

　まだ少し熱っぽい顔に、困ったような笑みを浮かべた。

　彼女の浮かべた笑みに少しホッとし

「ああいうことは、もうしませんから……」

　最後にもう一度反省してから

「じゃあ、俺は戻ります。おやすみなさい」

　回れ右をしようとすると「ま、待って！」梨子さんに引き留められた。

　見ると、バツの悪そうな顔が俺を見上げていて

「食べ終わったら、部屋まで連れて行って欲しいんです……」

　梨子さんはそう言うと

「……また、抱えて連れて行って下さいね」

　恥ずかしそうに目を逸らし、呟いた。



　お願いされた通り、俺は梨子さんを抱きかかえ、彼女の部屋へ向かった。

　制服の時とは違い、パジャマ姿の彼女を抱えると、その薄い生地越しに、身体の感触が腕にしっかり伝わりドキリとした。

　階段を一段づつ上りながら

　ドギマギしているこの胸の内がバレやしないだろうか……。

　そんなことを思い、抱える梨子さんを盗み見ると、その顔は気のせいだろうか。少し嬉しそうに見え

「女子の夢」

　そう言ってた菜奈さんの言葉を思い出した。