「……ああ。梨子がそう言ったんですか」

　事情を察し、納得した。

「トランクスさんとベジータさんと話したいから、出かけたいです」

　なんてことすら、本人たちに伝えられない、窮屈な環境にいる梨子のことを思うと、改めて申し訳なく思った。

　だから、このお出かけの、真の目的を知っている私は

「梨子。これからどうすんの？」

　企画した本人に聞くことにした。

　すると梨子は

「うーん……。そろそろ帰ろっか」

　目的の桟橋から富士山を見て、昼食も食べ、十分トランクスさんと話せたことで満足したらしく、一応考えるふりをしてから、笑顔で答えた。



　途中、交差点で信号が変わり、前を歩いていた梨子とトランクスさんと離れてしまった。

　歩きながら、抱えている心配事のことを考えていた私は、あまりにも面倒臭くなって

「今日、四人で出掛けたいって言いだしたの、梨子なんですよ」

　隣りに並ぶベジータさんに、ぶっちゃけ

「面倒なことに付き合わせちゃってすみませんね」

　私も巻き込まれたうちの一人だけどな……！

　謝罪の裏に愚痴も含ませた。

　少しだけ、胸のモヤが晴れ、スッキリしていると

「……何のためだ？」

　ベジータさんは、胸の前で腕組みをし聞いてきた。
　
　トランクスさんもベジータさんも、今日出掛けたことに、意味があると思っていたようだが、実のところは、ただの梨子の希望だ。

　だから、私は正直に

「お二人と話したかったみたいですよ」