「お待たせしましたー」

　快活な店員さんの声と共に、ベジータさんとトランクスさんの前に、どん！　と重量級の丼が置かれた。

　運ばれてきたのは、この店で一番人気と言っていい激盛り天丼。

　これでもかって！　っていうくらい、ご飯の上に積まれた天ぷらに、さすがのサイヤ人たちも引いている。

「遠慮せず食べて下さいね」

　頼んだ刺身定食を食べながら、梨子が向かいに座る二人に、店の看板メニューを勧めた。

「は、はい。ありがとうございます……」

　思っていたのと違う。

　と言わんばかりの顔をしていた親子だったが、そこはやはりサイヤ人。

　箸を持つなり、いつも通りの食欲を発揮しだした。

「さすがですね」

　その食欲に感心している私の隣りで「うん……」と共感し頷く梨子だったが

「やっぱり、ウチのご飯の量じゃ足りてないですよね？」

　次には不安そうに、親子に尋ねた。

　確かに、一般家庭の食事量じゃ、この二人には足りないだろう。

　かと言って、無賃の居候二人にカプセルコーポレーション並みの食事を提供することは出来ない。

　さぞ、ひもじい思いをしているのだろう。

　そんなことを思っていると

「大丈夫ですよ。ちゃんと満足してますから」

　気にしなくていい。というふうに、トランクスさんが微笑んだ。
　
　だが、丼の上の天ぷらは、すでに半分まで減っていて、その旺盛な食欲を目の当たりにして
「よかった」と素直に受け取ることは出来ない。

　案の定「ホントですか？」と、疑いの目を向ける梨子に

「大丈夫だ。食事のことは気にするな」