「フッ。雪が降ったところで、ただの山だろ」

　色が変わったぐらいで、感動出来るとは思えず、鼻で笑う俺に

「富士山は大昔からこの国を象徴する霊山ですから。日本人の宝みたいなもんなんですよ」

　真琴は微笑を浮かべ、富士山というものに対する、日本人が持つ印象を口にした。

　俺のような、純粋なサイヤ人には持ち合わせていない感覚だな。

　そんなふうに、民族性の違いを思っていると

「あ。そうそう。富士山の麓に、樹海っていう場所があるんですよ」

　真琴は海の向こうを指差した。

「ジュカイ？」

「はい」

「そこがどうした？」

「かなり広い場所なんですけど、ちょっと特殊なところで、人は滅多に入って来ません。だから、ベジータさんたちが修業するには打ってつけの場所だと思うんですよ」

「？！」

「この地球にいる間は、そこで修業してください。早朝か夜なら低空飛行で行けば、バレないと思います」

　真琴はそう注意してから

「あ。でも、エネルギー弾の使用は禁止ですよ。樹海が燃えたりしたら、さすがにバレますから！」

　更に付け加えた。

「トレーニング禁止と言っただろ」

　言うことを変えやがって……！

　睨む俺に

「私はあっちで、トランクスさんに剣道の相手してもらったおかげで、何とかストレス溜めずに済みましたから」

　真琴はそう言うと

「武道やる人間の気持ちは分かってるつもりです。思う存分とはいかないでしょうけど、樹海で修業して下さい」

　何か引っかかる、にんまりとした笑みを浮かべた。