梨子と並び、楽しそうに前を歩くトランクスに苛立ち

　何をはしゃいでやがる……！

　その背中を睨んだ。

　この地球に来て四日。

　依然「第七宇宙の地球」に帰る手掛かりはなく、無駄に時間だけが過ぎていく。

　しかしトランクスは、このどうしようもない状況にも関わらず、焦るようすもなく、今日もこうして、呑気にこの地球を満喫してやがる。

　それが気に食わない。

「遊びに来たんじゃないんだぞ！」

　朝食の席で一喝してやりたかったが、梨子の母親がいたため、出かけた言葉を呑み込んだ。

「クソッ……！」

　募った感情を、この一言に込め吐き捨てていると、俺のすぐ後ろを歩いていた真琴が

「機嫌悪そうですね」

　可笑しそうに声をかけてきた。

　勘に障る言い方が気に食わず、無視していると

「で。どうですか？　時の界王神様と連絡取れました？」

　真琴は距離を詰め、小声で尋ねてきた。

　周りを窺う真琴のようすに、俺も「まだだ」と、抑えた声で答えてから

「トランクスが言うには、時の界王神からの通信を待つしかないらしい」

　舌打ちするように続けると、真琴は小さく息を吐いてから

「こっちからは通信出来ないのか……。それは困りましたね……」
　
　神妙ぶったようすで唸った。

　だがすぐに

「それなら、待つしかないですね」

　あっけらかんとした調子でそう言い

「それまでは、この地球を楽しんで下さい！」

　帰るのは諦めろと言わんばかりに、明るい声をかけてきた。