デイダラ編
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この花火大会のイベントのために。
柊波はデイダラのハートを惹きつけたい一心で、女らしい仕草や魅力を研究した。
一人、鏡の前に立ち練習してみる。照れた時の仕草、目線の角度。そして甘い甘い沈丁花のコロンを纏い、白く伸びたうなじからは甘い仄かな香りを漂わせて。
リップはサソリの彼女に頼んで同じものを借りて、ぷっくりと濡れた様な艶を含むものを引いて。
そんな作戦が功を奏したのか。いつも揶揄ってはぐらかすばかりのデイダラがいつもと様子が違って見えた。
とは言え、初めてみる縁日の華やかさに魅了されて、デイダラと一緒になって散々はしゃいだのだが、軈て二人きりになるチャンスが訪れる。
ふわりと恥じらいを浮かべて手を差し出すと、デイダラも遠慮がちに手を握り返してくる。いつもはぐい、と適当に手や腕を力任せに引っ張られるのに、今夜はいつになく優しくて柔らかく包み込んでくれる手。
あらためて、彼の手の大きさや温かさにドキドキする。
(このまま、二人きりで...いたいなぁ)
手を繋ぎ、デイダラの少し後ろを歩きながら考えてしまう。今夜、もし良い雰囲気になったら今度こそちゃんと自分の想いを伝えようと思っていたから。
ぼんやりと考えている最中、直ぐ背後で大きな爆発音がして思わずデイダラにしがみつく。
ヒュー....ドォン!!!
「きゃっ!!」
「おっおい!…大丈夫か?
...ほら、空見てみろよ、うん」
恐る恐る背後の空を見上げると、ヒューっと音がし、また二発目が上がる。漆黒の空に浮かび上がったのは大輪の花。大きく大きく咲いて、また次、次と競う様に花が咲く。柊波の瞳は花を映してキラキラと煌めく。
「わぁ!…花火」
「な!…怖くないだろ?うん」
気付かないうちにデイダラの腕に胸を押しつける様に腕を絡めていた。花火を眺めている最中に其れに気付いても、そのままにしていよう、と心の中に潜んでいた小悪魔が囁く。
そして気付かないフリを続けて。夜空に咲く花火に夢中になる。テレビの画面で見ていたものとは比べものにならない程、ずっとずっと迫力があり、まさに音と光の操演だ。花の様に咲いた後散る間際まで儚くて美しい。
花火に気を取られていたが、ふと向けられた視線に気付くとデイダラが、いつもより熱を湛えたような瞳で見下ろしている。頭一つ分、身長差のある彼も、自分が下駄を履いているお陰でいつもより視線が近く、その蒼く吸い込まれそうな瞳にドキドキする。
(デイダラ...ちょっとは...ドキドキしてくれてるかな)
鏡の前で何度も練習した、あの恥じらいの表情を思い出しながら、一度受け入れた視線を外すように頬を染めたままフイと睫毛を伏せる。
すると、デイダラの手が頬に滑り唇を指先で撫でる。ざわり、ざわり、と心の中まで撫でるような指先の動きに早くなる鼓動が止まらない。
(えっと、えっと...次、次、どうなるんだっけ...?)
まだ瞳を伏せたまま戸惑っていると、くいと優しく顎を撫で上を向かされたと同時に自然と視線が交差する。いつもよりずっと真剣で艶めいた蒼い瞳に見つめられ、ドキドキしながら自然と瞼を閉じる。
躊躇いがちに触れ合う唇。合わさると、再び背後で花火の上がる音。キラキラと煌めく夜空を背景に、薄っすらと瞼を開けて今度は角度を変えて深める。
(ああ...キス、気持ちいい。デイダラと...ずっと、したかったから。)
こんな風に触れ合うだけのキスは初めてかもしれない。まるで想いを重ねるような、優しいキスに心が震えて止まらなくて蕩けていく。
浮かぶのはたったひとつの言葉。
(デイダラ...好き...)
もっともっと重ねていたいし、いつかの行為の最中のように絡め合って蕩けそうな舌の感覚を味わってみたいけど、柊波はひとつの決意を胸に、息を継ぐようにして僅かに唇を離す。名残惜しくてすぐにもう一度重ねたくなるのをグッと堪えて、頬を染めて俯いた。
そして背後でもう一度花火が上がり、はらりはらりと花弁が散ったあと。意を決して顔を上げると、蒼い瞳は遠くを見つめるように、再び打ち上がった花火を眺め、ひとつ息を置く。
熱に浮かされた様なデイダラの表情が其処にある。
次の花火が咲いたら、今度こそ。
「なあ、柊波...」
「ねぇ、デイダラ...」
と、二つの言葉と視線が偶然にも重なった。
「あ...先にどうぞ。」
「あ、いや、...先に言ってくれ、うん」
気まずくなって足元に目線を彷徨わせて、また顔を上げると同じタイミングで視線が重なる。今度は可笑しくなって、遂に二人でぷっと吹き出した。照れ隠しの様に頬を染めながら、アハハと笑い合う。
そのデイダラの笑顔が花火のように、綺麗で優しくて。ぎゅっと胸を掴まれて見惚れていると、軈てデイダラの顔から笑顔が消え、言葉もなく互いに向かい合う。
「すき...」
唇だけで紡いだ言葉。花火の音にかき消されて彼に届いたかどうか。
柊波はデイダラのハートを惹きつけたい一心で、女らしい仕草や魅力を研究した。
一人、鏡の前に立ち練習してみる。照れた時の仕草、目線の角度。そして甘い甘い沈丁花のコロンを纏い、白く伸びたうなじからは甘い仄かな香りを漂わせて。
リップはサソリの彼女に頼んで同じものを借りて、ぷっくりと濡れた様な艶を含むものを引いて。
そんな作戦が功を奏したのか。いつも揶揄ってはぐらかすばかりのデイダラがいつもと様子が違って見えた。
とは言え、初めてみる縁日の華やかさに魅了されて、デイダラと一緒になって散々はしゃいだのだが、軈て二人きりになるチャンスが訪れる。
ふわりと恥じらいを浮かべて手を差し出すと、デイダラも遠慮がちに手を握り返してくる。いつもはぐい、と適当に手や腕を力任せに引っ張られるのに、今夜はいつになく優しくて柔らかく包み込んでくれる手。
あらためて、彼の手の大きさや温かさにドキドキする。
(このまま、二人きりで...いたいなぁ)
手を繋ぎ、デイダラの少し後ろを歩きながら考えてしまう。今夜、もし良い雰囲気になったら今度こそちゃんと自分の想いを伝えようと思っていたから。
ぼんやりと考えている最中、直ぐ背後で大きな爆発音がして思わずデイダラにしがみつく。
ヒュー....ドォン!!!
「きゃっ!!」
「おっおい!…大丈夫か?
...ほら、空見てみろよ、うん」
恐る恐る背後の空を見上げると、ヒューっと音がし、また二発目が上がる。漆黒の空に浮かび上がったのは大輪の花。大きく大きく咲いて、また次、次と競う様に花が咲く。柊波の瞳は花を映してキラキラと煌めく。
「わぁ!…花火」
「な!…怖くないだろ?うん」
気付かないうちにデイダラの腕に胸を押しつける様に腕を絡めていた。花火を眺めている最中に其れに気付いても、そのままにしていよう、と心の中に潜んでいた小悪魔が囁く。
そして気付かないフリを続けて。夜空に咲く花火に夢中になる。テレビの画面で見ていたものとは比べものにならない程、ずっとずっと迫力があり、まさに音と光の操演だ。花の様に咲いた後散る間際まで儚くて美しい。
花火に気を取られていたが、ふと向けられた視線に気付くとデイダラが、いつもより熱を湛えたような瞳で見下ろしている。頭一つ分、身長差のある彼も、自分が下駄を履いているお陰でいつもより視線が近く、その蒼く吸い込まれそうな瞳にドキドキする。
(デイダラ...ちょっとは...ドキドキしてくれてるかな)
鏡の前で何度も練習した、あの恥じらいの表情を思い出しながら、一度受け入れた視線を外すように頬を染めたままフイと睫毛を伏せる。
すると、デイダラの手が頬に滑り唇を指先で撫でる。ざわり、ざわり、と心の中まで撫でるような指先の動きに早くなる鼓動が止まらない。
(えっと、えっと...次、次、どうなるんだっけ...?)
まだ瞳を伏せたまま戸惑っていると、くいと優しく顎を撫で上を向かされたと同時に自然と視線が交差する。いつもよりずっと真剣で艶めいた蒼い瞳に見つめられ、ドキドキしながら自然と瞼を閉じる。
躊躇いがちに触れ合う唇。合わさると、再び背後で花火の上がる音。キラキラと煌めく夜空を背景に、薄っすらと瞼を開けて今度は角度を変えて深める。
(ああ...キス、気持ちいい。デイダラと...ずっと、したかったから。)
こんな風に触れ合うだけのキスは初めてかもしれない。まるで想いを重ねるような、優しいキスに心が震えて止まらなくて蕩けていく。
浮かぶのはたったひとつの言葉。
(デイダラ...好き...)
もっともっと重ねていたいし、いつかの行為の最中のように絡め合って蕩けそうな舌の感覚を味わってみたいけど、柊波はひとつの決意を胸に、息を継ぐようにして僅かに唇を離す。名残惜しくてすぐにもう一度重ねたくなるのをグッと堪えて、頬を染めて俯いた。
そして背後でもう一度花火が上がり、はらりはらりと花弁が散ったあと。意を決して顔を上げると、蒼い瞳は遠くを見つめるように、再び打ち上がった花火を眺め、ひとつ息を置く。
熱に浮かされた様なデイダラの表情が其処にある。
次の花火が咲いたら、今度こそ。
「なあ、柊波...」
「ねぇ、デイダラ...」
と、二つの言葉と視線が偶然にも重なった。
「あ...先にどうぞ。」
「あ、いや、...先に言ってくれ、うん」
気まずくなって足元に目線を彷徨わせて、また顔を上げると同じタイミングで視線が重なる。今度は可笑しくなって、遂に二人でぷっと吹き出した。照れ隠しの様に頬を染めながら、アハハと笑い合う。
そのデイダラの笑顔が花火のように、綺麗で優しくて。ぎゅっと胸を掴まれて見惚れていると、軈てデイダラの顔から笑顔が消え、言葉もなく互いに向かい合う。
「すき...」
唇だけで紡いだ言葉。花火の音にかき消されて彼に届いたかどうか。