デイダラ編
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「わああ。ねぇ見てデイダラぁ!」
キラキラと目を輝かせて、両脇に並んだ露店をキョロキョロと眺めては感嘆の声をあげる。今日はデイダラを絶対振り向かせてみせる!と内心誓っていた筈なのに、お祭りの賑やかな様子に魅せられて、子犬のようにはしゃぐ柊波。
「オイオイ、いくらなんでもはしゃぎ過ぎだろ、うん。しょうがねぇな、こう見えて金魚掬いは名人級の腕前なんだぜ、うん」
「え!ほんと!やってやって、デイダラぁ」
へへんと鼻を鳴らし、煽てられて満更でもないデイダラは浴衣の裾を肩まで捲り上げ、金魚掬いに没頭する。
サソリとその彼女がデイダラの腕前を後ろから見ていたが、あまりの盛り上がり様にあとは二人だけにして、花火の時間まで別行動をとる事にした。一緒に花火を見たあと、皆で線香花火をやろう、という約束をして。
その後もデイダラと柊波は、柊波の目に留まった露店に次々と回り、林檎飴に綿飴、金魚、ヨーヨーなどで柊波の両手は塞がっていった。
「流石に買いすぎだろ、両手塞がっちまってるじゃねぇか、うん」
「え?デイダラも食べる?」
「おい、ここについてるぞ、林檎飴」
「どこどこ?」
と言いながら顔を寄せてくる柊波は、いつに増して頬や唇が艶を増して。揶揄うつもりだったのに思わずどきりと胸が高鳴る。
(中身はいつもの柊波なのにな...それに、なんか甘くていい匂いがする。これ、りんご飴の匂いじゃねぇよな。)
いつものように唇を近付けキスしそうな素振りをして揶揄ってやろうとするのを思い留まり、指先で口元に付いた飴を優しく拭う。すると、柊波はポッと目の縁を紅く染めて、長い睫毛を伏せ触れられた口元を押さえ乍微笑む。
その仕草に、再びどきりと胸を射られた。
(な、なんなんだよ、いまの!)
逆に揶揄われたんじゃないかと思うほどに、デイダラの心中は掻き毟られ、してやられた様に反対にポッと真っ赤に頬を染めた。
もう一度柊波を見ると、そんなデイダラの心中には全く気付かない様子で、いつものように飄々として林檎飴を舐っている。
柊波の行動に、いつもとは違う女性らしい仕草に気が付けば釘付けになってしまう。
飴が付いて紅を引いた唇がより一層鮮やかに濡れて。小さな唇の間から覗く舌先も飴の色が移り、赤々と見る者を誘い込むようだ。
(や、ヤベェ...何考えてんだよ、俺)
ブンブン、と思わず首を振り視線を明後日の方向へと外す。これから皆んなでワイワイと花火を見る約束だと言うのに。
すると、今度は林檎飴を食べ終えた柊波が、空いた方の手を恥ずかしげに差し出してくる。
「ねぇ...デイダラ...手、つなご?」
「お、おう...」
いつもなら特に意識をせずに差し出していた手も、今夜は何だか意味のある事のように感じて。羞恥を浮かべたその表情はまさに色気を帯びた大人の其れだ。
いつの間に、こんなに綺麗になったんだろう。
まだ顔の火照りを消せないまま、デイダラはゆっくりと手を差し出した。繋がれた手は小さくて、滑らかで。こんなに心地の良いものだったかと思い返す。
「そろそろ、花火の時間が近付いてきたな。旦那たちと合流するか、うん」
「そうだね」
「人が少なくて綺麗に見える高台があるんだよな。因みに、オイラが下調べして見つけたんだけどよ、うん。旦那には伝えといたけど...そろそろ来るかな...?」
そんな事をまくし立てるように話しながら、繋がれた手の柔らかさ、心地良さを離れ難く思う。
もし二人だけなら...そんな考えがデイダラの脳裏に過ぎる。
少しだけ…
間違えたといえば良い
少しだけ遠回りするだけ…
「ここ。裏道から繋がってるんだ...
道が悪りぃから、転びそうになったらオイラを掴んでいいからよ、うん」
神社の裏手にある山道に、少し開けた場所がある。柊波が転んでしまわないように、優しく手を引きながら、高鳴る鼓動を抑えて人通りのない道へと入っていく。
キラキラと目を輝かせて、両脇に並んだ露店をキョロキョロと眺めては感嘆の声をあげる。今日はデイダラを絶対振り向かせてみせる!と内心誓っていた筈なのに、お祭りの賑やかな様子に魅せられて、子犬のようにはしゃぐ柊波。
「オイオイ、いくらなんでもはしゃぎ過ぎだろ、うん。しょうがねぇな、こう見えて金魚掬いは名人級の腕前なんだぜ、うん」
「え!ほんと!やってやって、デイダラぁ」
へへんと鼻を鳴らし、煽てられて満更でもないデイダラは浴衣の裾を肩まで捲り上げ、金魚掬いに没頭する。
サソリとその彼女がデイダラの腕前を後ろから見ていたが、あまりの盛り上がり様にあとは二人だけにして、花火の時間まで別行動をとる事にした。一緒に花火を見たあと、皆で線香花火をやろう、という約束をして。
その後もデイダラと柊波は、柊波の目に留まった露店に次々と回り、林檎飴に綿飴、金魚、ヨーヨーなどで柊波の両手は塞がっていった。
「流石に買いすぎだろ、両手塞がっちまってるじゃねぇか、うん」
「え?デイダラも食べる?」
「おい、ここについてるぞ、林檎飴」
「どこどこ?」
と言いながら顔を寄せてくる柊波は、いつに増して頬や唇が艶を増して。揶揄うつもりだったのに思わずどきりと胸が高鳴る。
(中身はいつもの柊波なのにな...それに、なんか甘くていい匂いがする。これ、りんご飴の匂いじゃねぇよな。)
いつものように唇を近付けキスしそうな素振りをして揶揄ってやろうとするのを思い留まり、指先で口元に付いた飴を優しく拭う。すると、柊波はポッと目の縁を紅く染めて、長い睫毛を伏せ触れられた口元を押さえ乍微笑む。
その仕草に、再びどきりと胸を射られた。
(な、なんなんだよ、いまの!)
逆に揶揄われたんじゃないかと思うほどに、デイダラの心中は掻き毟られ、してやられた様に反対にポッと真っ赤に頬を染めた。
もう一度柊波を見ると、そんなデイダラの心中には全く気付かない様子で、いつものように飄々として林檎飴を舐っている。
柊波の行動に、いつもとは違う女性らしい仕草に気が付けば釘付けになってしまう。
飴が付いて紅を引いた唇がより一層鮮やかに濡れて。小さな唇の間から覗く舌先も飴の色が移り、赤々と見る者を誘い込むようだ。
(や、ヤベェ...何考えてんだよ、俺)
ブンブン、と思わず首を振り視線を明後日の方向へと外す。これから皆んなでワイワイと花火を見る約束だと言うのに。
すると、今度は林檎飴を食べ終えた柊波が、空いた方の手を恥ずかしげに差し出してくる。
「ねぇ...デイダラ...手、つなご?」
「お、おう...」
いつもなら特に意識をせずに差し出していた手も、今夜は何だか意味のある事のように感じて。羞恥を浮かべたその表情はまさに色気を帯びた大人の其れだ。
いつの間に、こんなに綺麗になったんだろう。
まだ顔の火照りを消せないまま、デイダラはゆっくりと手を差し出した。繋がれた手は小さくて、滑らかで。こんなに心地の良いものだったかと思い返す。
「そろそろ、花火の時間が近付いてきたな。旦那たちと合流するか、うん」
「そうだね」
「人が少なくて綺麗に見える高台があるんだよな。因みに、オイラが下調べして見つけたんだけどよ、うん。旦那には伝えといたけど...そろそろ来るかな...?」
そんな事をまくし立てるように話しながら、繋がれた手の柔らかさ、心地良さを離れ難く思う。
もし二人だけなら...そんな考えがデイダラの脳裏に過ぎる。
少しだけ…
間違えたといえば良い
少しだけ遠回りするだけ…
「ここ。裏道から繋がってるんだ...
道が悪りぃから、転びそうになったらオイラを掴んでいいからよ、うん」
神社の裏手にある山道に、少し開けた場所がある。柊波が転んでしまわないように、優しく手を引きながら、高鳴る鼓動を抑えて人通りのない道へと入っていく。
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