百日紅の咲く庭
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大きな任務をこなした後は
休んでいる暇なんてない。
手に入れた宝物の中から、質の良い起爆材になりそうな代物を漁る。
朝からせっせと自室で創作する芸術の種。
イメージを膨らませながら、コネコネと手の平に食わせた其れを形作る。
暁の演習場で半量の粘土にチャクラを込め、起爆させた後、自身の眼鏡に叶いそうな試作品が仕上がった。
「取り敢えず、旦那に報告だな、うん」
暁にスカウトされる形でほぼ無理やり組織に属することになった。組まされた相手が常に不機嫌で口の悪いド偏屈野郎ときて、それこそ最初は啀み合いの連続であった。そうこうする内、芸術性の拘りに違いはあるものの造形美を追求する者同士、共に行動し始めて二年の時が過ぎようとしていた。忍として経験、知識とも豊富なサソリは尊敬に値する相手であり、旦那と呼び慕っている。
仕上がった作品を手の平に仕込んで、サソリの自室へと向かう。
非番の時は決まって部屋に引き篭もり、
傀儡の手入れか毒薬の調合をしている筈だ。
大体話し掛けても返事がないので、勝手に部屋に入るようにしている。
だが今日は勝手が違った。
いつもの様にまず作業部屋を覗いてみるのだが、其処に姿がない。うろうろと探していると寝室の方に気配を感じたので其方へと足を向ける。
「オイ、旦那ぁ!いねーのか?新しい作品を...ん?」
と、予想外の光景に思わず目を丸くし心臓が飛び跳ねる。
そしてみるみるうちに頭のてっぺんまで真っ赤になる。
「う、うわ!」
寝台の上で布団にくるまっている女と目が合った。
(女!?
...そう言えば、昨日旦那が連れ帰っていたんだっけな。)
「...お、起こして悪かったな!」
「...おはようございます。」
「旦那知らねぇか?今日は非番って聞いてたしいろいろと話してぇことが...」
昨夜の任務を思い出す。後から合流した時、サソリはどういうわけか既にヒルコを脱いでいて、傷だらけの女を抱いていたのだ。
いつもの様に傀儡にするのか、と聞いたがどうも違う様子だった。じゃあどういう目的なのかと良からぬことを妄想してしまいそうになるが、抑もこれまでの経験上、傀儡の素材として見る以外は他人に全く関心を示すことのなかったサソリとはどうも結びつかない。
(傀儡にしか興味ねぇただのヒッキーだと思ってたしな、うん。)
相手も照れているのだろうか。
ほんのりと頬が赤く染まっている。
久しぶりに年近い者と話せる喜びからか、それとも妙な照れと焦りからか、無駄に饒舌になってしまう。
「思ったんだが、結構俺と年近いよな?
オイラ、デイダラってーんだ。...宜しくな、うん。」
「はい......宜しく........お願い...します...」
言葉に詰まりながらも、ふわりと微笑んでくる。なんだか突風でも吹けば直ぐに壊れてしまいそうな儚さを感じて、ぎゅ、と胸が掴まれる思いがした。
「でさ、旦那みてねーか?」
「起きた時にはもういなくて、…んっ…見てないです...」
辛そうに息を詰めているのはまだ傷が痛むせいなのだろうか。その表情にそこはかとなく漂う色香を感じて思わず視線を背ける。
「ふーん、…新作を披露しておこうと思ったんだけどよ...まあ、いないんなら仕方ねぇな。邪魔したな、ゆっくり休めよ、うん」
会話を適当に切り上げて、そそくさと部屋を後にする。
足早に自室へ戻ってきた。あのままいたら変な気を起こしかねないと思ったからだ。
「あ。そういや名前聞くの忘れたな...」
ふいに窓から流れ込む風に乗って、ひらひらと青い蝶が舞い込んできた。指を差し出すとふわりと止まり、またひらひらと飛び立つ。
まるで此方に誘いかけるような彼女の笑顔を思い出し、じぃんと胸の奥が熱くなるのを感じた。
休んでいる暇なんてない。
手に入れた宝物の中から、質の良い起爆材になりそうな代物を漁る。
朝からせっせと自室で創作する芸術の種。
イメージを膨らませながら、コネコネと手の平に食わせた其れを形作る。
暁の演習場で半量の粘土にチャクラを込め、起爆させた後、自身の眼鏡に叶いそうな試作品が仕上がった。
「取り敢えず、旦那に報告だな、うん」
暁にスカウトされる形でほぼ無理やり組織に属することになった。組まされた相手が常に不機嫌で口の悪いド偏屈野郎ときて、それこそ最初は啀み合いの連続であった。そうこうする内、芸術性の拘りに違いはあるものの造形美を追求する者同士、共に行動し始めて二年の時が過ぎようとしていた。忍として経験、知識とも豊富なサソリは尊敬に値する相手であり、旦那と呼び慕っている。
仕上がった作品を手の平に仕込んで、サソリの自室へと向かう。
非番の時は決まって部屋に引き篭もり、
傀儡の手入れか毒薬の調合をしている筈だ。
大体話し掛けても返事がないので、勝手に部屋に入るようにしている。
だが今日は勝手が違った。
いつもの様にまず作業部屋を覗いてみるのだが、其処に姿がない。うろうろと探していると寝室の方に気配を感じたので其方へと足を向ける。
「オイ、旦那ぁ!いねーのか?新しい作品を...ん?」
と、予想外の光景に思わず目を丸くし心臓が飛び跳ねる。
そしてみるみるうちに頭のてっぺんまで真っ赤になる。
「う、うわ!」
寝台の上で布団にくるまっている女と目が合った。
(女!?
...そう言えば、昨日旦那が連れ帰っていたんだっけな。)
「...お、起こして悪かったな!」
「...おはようございます。」
「旦那知らねぇか?今日は非番って聞いてたしいろいろと話してぇことが...」
昨夜の任務を思い出す。後から合流した時、サソリはどういうわけか既にヒルコを脱いでいて、傷だらけの女を抱いていたのだ。
いつもの様に傀儡にするのか、と聞いたがどうも違う様子だった。じゃあどういう目的なのかと良からぬことを妄想してしまいそうになるが、抑もこれまでの経験上、傀儡の素材として見る以外は他人に全く関心を示すことのなかったサソリとはどうも結びつかない。
(傀儡にしか興味ねぇただのヒッキーだと思ってたしな、うん。)
相手も照れているのだろうか。
ほんのりと頬が赤く染まっている。
久しぶりに年近い者と話せる喜びからか、それとも妙な照れと焦りからか、無駄に饒舌になってしまう。
「思ったんだが、結構俺と年近いよな?
オイラ、デイダラってーんだ。...宜しくな、うん。」
「はい......宜しく........お願い...します...」
言葉に詰まりながらも、ふわりと微笑んでくる。なんだか突風でも吹けば直ぐに壊れてしまいそうな儚さを感じて、ぎゅ、と胸が掴まれる思いがした。
「でさ、旦那みてねーか?」
「起きた時にはもういなくて、…んっ…見てないです...」
辛そうに息を詰めているのはまだ傷が痛むせいなのだろうか。その表情にそこはかとなく漂う色香を感じて思わず視線を背ける。
「ふーん、…新作を披露しておこうと思ったんだけどよ...まあ、いないんなら仕方ねぇな。邪魔したな、ゆっくり休めよ、うん」
会話を適当に切り上げて、そそくさと部屋を後にする。
足早に自室へ戻ってきた。あのままいたら変な気を起こしかねないと思ったからだ。
「あ。そういや名前聞くの忘れたな...」
ふいに窓から流れ込む風に乗って、ひらひらと青い蝶が舞い込んできた。指を差し出すとふわりと止まり、またひらひらと飛び立つ。
まるで此方に誘いかけるような彼女の笑顔を思い出し、じぃんと胸の奥が熱くなるのを感じた。
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